内容説明
芸術には芸術の分際がある。アートの出生とその証明。ポップアートと死の平等。あまりに根源的な(反)入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
74
美術批評家によるアート(芸術)入門。平易な書き方であるが難解とされる現代芸術について解説。そして、既存の固定観念のアートではない、まだ見ぬ新しいアートについての論考。期待していなかったが薄々感じていたことを文にしてありいろいろ驚く。貨幣とアートについての論考や、アートの概念を見据えてひっくり返していく先人たちの歴史や、批評の意味合い、民藝運動の真の意味、など非常に刺激になった。手元に置いて置きたい。ぜひおすすめ。2017/08/31
zirou1984
38
とても面白く、かつ、まっとうな入門書。現代アートについて説明する時、語りきれないからこそ「反」という形になってしまうというのは正に現代的。それは歴史と伝統なき国家、アメリカが芸術の中心となるための必然的手法であり、神や王権の様な捧げるべき権威対象を失ったが故にアートはそれ自身がアートであることを証明し、資本主義という市場でその価値を決定する必要がある。また日本で美術館やアートに一種の距離が存在するのは、こうした西洋の文脈上に接ぎ木の様に日本の文化が接続されているという説明は非常に納得がいくものだった。2015/07/29
ころこ
32
感想を書いていると、「美術」と「アート」を書き分けなければならない不自由さを感じます。西洋伝来の教育的価値によるのが「美術」であり、手垢どころか誤った歴史を歩んできた「美術」を排して本来の語義に立ち返れば、反美術が「アート」である。本書は「入門」書なので、第一の門となっているのでしょうか。同時に、審級を思わせる門と、神を失い地上で孤立した人間たちが独力で価値づけすることから始まったというアートの相反する言説が共に並んでいます。また、第一の門で、他の隣接する表現からの独立がアートだといっておいて、第二の門で2019/10/24
T2y@
30
かつての宗教との関係性から、資本主義との関係性へ変遷したと説くアート論。 冗長だが、講義を短期で受けたような一冊。 また、表題に反映された通り、日本現代美術に対する批判も舌鋒鋭いところ。 後半に触れられた、岡本太郎が唱えたと言う『呪術』に興味が湧く。 2014/10/14
おおた
18
美術館が好きな人は必読。苔を見るようになってからずっと「芸術ってどうして『美しい』んだろ?」て考えてた。自然環境によって必然と偶然が混在して見分けがつかない世界を見ると、特に近代日本の抽象美術の美しさってわたしにとってどういう意味・美しさなのだろうとずっと考えてきた。本書では現代アートの成り立ちから美術にまつわるお金の流れ、派生して美術と自然(秩父の山!)まで語られ、所々は承服しかねるけど、宗教を持たない日本人にとっての美術について考えさせられる一冊。2018/03/27
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