内容説明
食品輸入会社の現地職員としてアテネで働く美貴は、仕事で訪れたとある村で廃院となった修道院を見つける。その宿坊の壁に描かれた大天使ミカエルを目にして以降、彼女の周りでは次々と不可思議な現象が起こる。無人の聖堂で不意に聞こえる祈りの声、相次ぐ村人の死、積み重なる家畜の死骸。全ては神の仕業か悪魔のいたずらか。異国の地を舞台に繰り広げられるサスペンス長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
382
もうアルバニア国境に近いギリシャ最奥地、アナトリキ地方が物語の舞台。まずは、よくこんな地を思いついたものだと感心する。この地にはギリシャ正教の修道院が点在しているらしく、本書でも、このギリシャ正教が重要な要素の一つになっている。日本人には馴染みの薄い教派だが、篠田節子氏はこれをモチーフとして実に上手く用いている。小説は謎解きの要素をはらむが、3人の登場人物たちのトラウマを巧みに炙り出してゆく手法は、まさに小説巧者の名に恥じない。読者は主人公の美貴に感情移入して読み進め、サスペンスを味わうことになる。2018/09/09
みも
139
大天使ミカエルの名がタイトルに冠され、悪魔の存在が示唆される。ホラー的暗闇が至る所に立ち現われ、重々しい濃霧のような不穏な気配が充満し、雪景色と併せてモノトーンが作品全体を支配する。舞台はギリシャ。青いエーゲ海や白い宮殿跡を想起しがちだが、本作はアトス山の廃院したギリシャ正教修道院。重い記憶を背負った3人が交錯し絡み合い、やがて予想もしない恐怖に巻き込まれていく。壁画の描写が秀逸で圧倒されるが、篠田さんは芸大卒という事を思い出し得心。着想や構成、伏線回収も見事だが、過程と着地点の乖離にやや強引さを感じる。2024/12/11
まこみん
93
過去の失敗から国外に放逐された形の美貴はギリシャの地方の特別な蜂蜜を求めて現地ガイドの綾子を雇う。壁画修復師の吉園入れて3人の日本人が廃修道院を訪れた事で目に耳にしたものは。ホラー、オカルトっぽい展開でその雰囲気を暗く引き摺りながら、ラストは原因解明へと。人其々にある心の蟠りや後悔の念は、心の深部に降りる梯子を創造した。途中冗長感がしたのと、主人公がどうも好きになれなかったのが残念。2018/10/08
Bugsy Malone
85
3人の日本人を軸に描かれるギリシャの地方都市の修道院という特殊な環境とそこにに救いを見出そうとした人々。じわじわと忍び来る不気味さが修道院を取り巻き、ホラーなのかミステリーなのかサスペンスなのか、後半に及んでもそれすらはっきりとは掴めず、焦れったさを感じながらも読み止めることが出来ない。大変面白かったです。2020/03/15
バイクやろうpart2
74
篠田節子さん作品6冊目です。篠田さんを教えてくれた読友さん、ご推薦の作品でした。ギリシャというシチュエーションが神秘さ、悪魔的な映像を意識させながら、巧みな演出でバイオハザードで締めくくる所、"こうきたかぁ" って感じ!期待通リでした。お薦め頂いた1冊ですが、是非、そのバトンをお渡ししたいと思います。2018/03/10
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