内容説明
《戦乱の昏き世。足利が織田が豊臣が、そして妖異の者たちが描きだす壮大な伝奇絵巻!》その男は龍にならんとする蛇か? ──琵琶法師を殺(あや)めて奪った古文書が、油売り・庄五郎の野心を烈(はげ)しく燃やす。そこに記されしは邪淫教立川流の秘儀! 天下を取り、女を抱くため、古文書にしたがい、魔物と約定を交わす庄五郎。彼が辿る凄絶な運命とは?(「魔蟲傳(まむしでん)」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひょろ
2
立川流を軸に、美しくも醜い室町を描いたホラー短編集。「俊寛抄」は秀逸。2021/08/20
込宮宴
1
室町時代なんて、高校の日本史で習った知識しかなかった。それなのに、知らない固有名詞がばんばん出てくる。それでも十分に面白いのだら、室町時代は、実はとんでもなく面白いのだろう。2014/12/01
miroku
1
魔蟲傳が最高♪ 斎藤道三の怪しげな経歴を妖しく描いた傑作だ♪2010/02/14
Steppenwolf
0
本書は,先に読了した闇絢爛と同様室町時代から戦国時代に掛けての伝奇短編集である。斎藤道三に関する冒頭の作品はあたかもファウストのごとく魔と契約して国盗りを成し遂げるというものである。道三が幼少時に修行した寺の名前がかつて友人と遊んだ寺と同じである。道三の頃とは場所が違うらしいが親しみを持った。またそれ以外にも私の生息域にある寺などが舞台となり非常に嬉しい。飛鏡のこに登場する通称銀閣寺は,少なくとも現在は慈照寺銀閣のはずで慈照院ではないはず。室町時代と呼称が変わったのだろうか。2009/08/26
miubw
0
・魔蟲傳 書き下ろし、斉藤道三もの、あまりひねりがない ・小面曾我放下敵討 あだ討ちもの、かわいそう ・豊国祭の鐘 関が原後、謎の老人の正体は。 ・かいちご 一条家の呪い ・飛鏡の蠱 義政、義視、富子の見る未来。 ・「俊寛」抄 世阿弥が義光の後ろ盾を失い、凋落していく過程を俊寛と重ね合わせつつ弟子の立場から描く。 昔、異形コレクションで読んだはずが、どれも覚えていなかった。豊国祭以外は室町もので、立川流や文観に言及される。朝松健といえば一休さんのイメージを持っていたが一休さんの出ない話も多かったんだなあ。2019/10/14