内容説明
逞しく男らしい生涯を送った老人の暗い過去を、その刺青に読みとったホームズ……。探偵を生涯の仕事と決する機縁となった「グロリア・スコット号」事件をはじめとして、名馬の失踪とその調教師の死のからくりを解明する「白銀号事件」、もっとも危険な犯罪王と時代にぬきんでた大探偵との決死の対決を描く「最後の事件」など、ホームズの魅力を遺憾なく伝える第二短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
195
「黄いろい顔」が印象に残りました。ホームズの最後の台詞がものすごくカッコ良かったと思います。いつものキレッキレの演繹推理よりもかっこよかったし、何よりもシャーロック・ホームズという人間の本性を見れた気がします。さて、そのホームズが放った“台詞”は読んでのお楽しみ、ということで。2017/10/21
Kircheis
180
★★★★☆ ホームズ短編集の第二弾。 これも安定の面白さ(//∇//) 1番好きなのは、現場の状況等から起こった事実を的確に推理するところがホームズらしい『白銀号事件』。 あと『黄いろい顔』もほっこりできて好き。 なお、『ギリシャ語通訳』の読後感はホームズ物としては珍しく悪く、今で言うイヤミスだと思う(笑)2019/04/18
海猫
149
短編集第2弾にして絶好調の面白さ。毎回バラエティーに富みマンネリ感全く無し。ホームズが若かりし頃に事件に遭遇するエピソードやホームズの兄マイクロフトが登場する回もあり、順調にシリーズとして展開していく。読者としては大変に楽しい。一方で、作者ドイルは必ずしもシリーズを続行したかったわけではなかったようで。幕引きを意図した「最後の事件」はやはりインパクトがある。どんどん面白くなってきたところに「これで完結です」となると動揺するのはわかる気がした。犯罪界のナポレオンことモリアティ教授も実に良いキャラだと思うわ。2023/04/27
Tetchy
105
「白銀号事件」のみが『~冒険』のエッセンスを受け継ぐのみであって残りは特に可もなく不可もない。これはドイルがシャーロック・ホームズシリーズに嫌気がさしていた証左であろう。そしてもはや本格物ではない「最後の事件」でホームズを葬り去ろうとしたのだが…。内容はともかく、本作はそんな作者の苦悩が窺われて興味深い。2009/05/17
かえで
93
ホームズ短編集その2。10の短編を収録。ホームズシリーズはこれに収録されている『最後の事件』で1度終結しているが、読者からの反響が大きく結局のところまた再開している(笑) この短編集も非常にバラエティに富んでいて面白い。ホームズが探偵になったきっかけの話、探偵になって初めての事件、彼の推理が揺らぐ話、宿敵モリアーティ教授との対決など…全て面白いっていうのは凄いなあ。ホームズの活躍ぶりにワクワクが止まらない。そして相棒のワトスン君も優秀であり、大活躍する話あり。また1歩、シャーロッキアンに近づいてしまったぜ2017/01/28