内容説明
昭和8年、巣鴨の水道屋の次男坊・曠吉は、家業を手伝いながら、第1回直木賞作家・川口松太郎のような小説家になることを夢見ていた。しかし頭の中に浮かぶのは、美しい女との××のことばかり。曠吉は、様々な女と出会い、彼女たちに魅かれ、人生の愉しさ、儚さを知る。歳月を重ねながら、少年は一歩ずつ大人への階段を上っていく。都々逸や小唄を小気味よく挿みながら、男と女の「情」を描いた、胸にしみいる人情小説の白眉。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウチ●
1
確かにノスタルジーと言えばそれまで・・・。しかし、現代とは違う、ましてや江戸とも違う。大正から昭和初期にかけて流れたゆるりとした時間の中で、人々(特に年上の女性にモテまくる。)の心のひだに入り込み成長していく主人公「曠吉」の物語。川口松太郎に憧れた久世光彦さんの絶筆です。畑中純「まんだら屋の良太」を思い浮かべました。表紙の岩田専太郎画伯の美人画が良いですね~。2012/08/30
ミメイ
1
☆4久世さんが好きだった川口松太郎へのオマージュとでもいうような作品。でも紛うことなく久世ワールド。
しまねこ
0
なんかおおらかな時代というか人たち。涙子さんの名前が淫靡。2012/07/05
Peter-John
0
恋といえば恋なんだろうけど、どっちかといえば勃起しまくる曠吉の話が中心。そこをいやらしくなく描くところが作者の腕ですねえ。「昭和人情馬鹿物語」という副題は川口松太郎の小説の題名で、この作品はそのオマージュ。で、曠吉の相手は年上ばかりで、なかでもお涼さんは都々逸の名手にしてアームチェア・ディテクティブ役の40前。昭和のはじめの40前というとどんなだっただろう?2019/06/07