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内容説明
2055年。わたしたちの町・花井沢町は、ある事故に巻き込まれ外界から隔離されてしまいました。どこにも行けず、誰もやってこない。いずれ滅びるこの町で、わたしたちは今日も普通に生きています。焼き立てパンが食べたい! パン屋を目指す女の子。閉ざされた町で、「どこにでも行ける魔法のじゅうたん」――小説を書く作家。望まない妊娠をし、子供を身ごもった女性の慟哭。町で起きる喜びと悲哀を、静かにつづる連作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wata
52
なんとか「生きがい」を見つけようと頑張る人達。本の中で自由を見出だそうとする先生、謎の映画館、パン作りに励む人、中と外で話は出来ても触れられない二人…。2017/05/17
くりり
40
花井沢町での生活、パン修行を始めたり、小説を書いたり、エロい映画館にはまったり、何とか希望を見いだそうと...2017/05/07
ぐうぐう
33
壁の中にいても文学賞を取ることはできる。「死を描くすべての作家が 読む読者が 死を体験していないようにわたしは でも死を知っているようにわたしは死んだことがあり わたしは竜を見たことがあり 宇宙のにおいを知っている 100メートルを9秒で走るときの風の音も 男子の気持ちも まだ発見されていない新種の花も知っている どこにあってもわたしたちは自由です」。しかし町の全住民が、この作家のように感じているわけではない。壁がもたらせる不自由さに打ちひしがれている人もいる。想像力が救えない絶望もここにはあるのだ。2016/03/13
天の川
29
希が最後の住人であることは、冒頭で明らかにされている。閉塞した空間の中で、パンをつくる女性や図書室を開放する女性作家など前向きに生きようとする人々も多かったのに、子どもや若者の姿も見られたのに、人口が減少の一途を辿ったのはその地に未来や希望を見出せなかったからか。希と青年。体温を感じることができるのに触れ合うことができない、その切なさ。愛しさと未来を作ることができない絶望。作家の女性の言葉の力強さに感動しつつ、「どこにあっても私たちは自由だ」という言葉が支えきれなかった滅びゆく町を思う。2016/01/25
かおりっくま
24
SF魂を揺さぶられた。作家さんの章で、本読みの真髄を再確認。体は物理的、時間的制約があっても心は自由なのだ!2016/01/30