内容説明
「五」足す「二」で「しち」。「五二屋」とは質屋のこと。黒船来航に揺れる幕末の江戸深川──。質屋「伊勢屋」にはさまざまな人々が訪れる。主の傳蔵と、その蔵を狙う盗賊との攻防をめぐる、謎と興奮と人情に満ちた長編時代小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
66
緊迫した黒船襲来という時節を扱っているものの残念ながら物語はそこに直結しない。それを舞台として用意された五二屋vs盗賊という見せ場さえ、回想と蘊蓄の連続で肝心の本筋が際立たない。そうかといって作者の筆遣いは、たくみで物語が面白くない訳ではない。勝手な言い分だが、いっそ盗賊のくだりを抜いて表題の割には扱いの薄い主人傳蔵の話と、五二屋を利用する人々の物語にしていただいて、続編としてvs盗賊を書き上げて欲しかった…と、そう思わずにいられない。2016/04/13
万葉語り
29
黒船襲来で世間が大騒ぎの中企まれた、質屋襲撃の話。たった一つの出来事をあらゆる方面から掘り下げて合って読みごたえがあった。2020-0432020/03/18
jima
19
質屋対盗賊2017/12/20
ナチュラ
17
頂いた本 山本一力さんの作品は初読みでした。 五二屋とは質屋のことなんですね。 店主の傳蔵さんは男気があり、人望が厚く、理想の経営者です。 登場人物の一人一人も丁寧に人物像を描いており、感情移入してしまいます。また、江戸の街並み、川、船、料亭などがとてもリアルで風景が見えてくるようでした。 時間をかけてゆっくり読了。大河ドラマを観終ったような感覚。2016/09/19
marsa
10
五二屋で質屋とは知らなかった。テキ屋の若い者頭から見込まれて質屋の主になった傳蔵だが職種があまりにも違うと思ったのも杞憂だった。庶民の味方である質屋の主の資質はこうであれという感じ。人には器の大きさがあり、屈服させるのでなく人柄に惚れる。オトコだなぁと思った。伊勢屋を狙う盗賊一味の頭領もある意味器の大きなやつだった。思惑どおりに盗賊を撃退しつつ、困っている人たちも助けてしまう。チーム傳蔵は実に痛快だった。山本さんらしい作品。惚れてしまう。2015/10/28