内容説明
江戸から大坂へ送られる姫を救出せんと、東海道を上る若侍・浅形新一郎。行く手には大坂の大商人・堺屋勘右衛門一派が立ちはだかる。道中で交錯する敵味方。新一郎は苦闘の末、姫を救い、埋蔵金十万両をも手にして、義士・大塩平八郎に加勢するが……。これぞ柴錬! 結末も鮮やかな、時代ロマン小説の決定版。
感想・レビュー
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真理そら
20
めっぽう強い浅形新一郎と進藤重四郎という対照的な二人の浪人や豪商、盗賊、スリ、元大目付、美女たちなどの登場人物が魅力的な上に、東海道中物的要素もあり、最終的には大塩平八郎の乱について考えさせられた。1959年から1年間、地方紙に連載された作品とのことだがまったく古さを感じさせないのが凄い。2018/12/23
Moonlight_Hope
6
■後編は一読で、スラスラと。 読み終えて登場人物が対比されていたと感じる。 新一郎と重四郎。堺屋と越後屋。富士絵と三千代、などなど。 そこに「人間って表と裏は紙一重」っていう柴錬が教えてくれているような。 ■船頭弥吉のべらんめぇ節が、とにかくクスクス。 発表後60年を過ぎ、柴錬は亡く、柴錬の創作なのか、伝聞なのか。 調べる術はあるのだろうか。 ■登場人物を俳優に置き換えて読むのがわたしのスタイルなんだが。今の役者にクセが強いキャラはあまりに少なく。三千代さまに相応しい女優は遂に思い至らず。2023/11/22