内容説明
「飛ぶ歓び」「生きる歓び」を追い求め、自分の限界を突破しようとした、かもめのジョナサン。群れから追放された彼は、精神世界の重要さに気づき、見出した真実を仲間に伝える。しかし、ジョナサンが姿を消した後、残された弟子のかもめたちは、彼の神格化を始め、教えは形骸化していく……。新たに加えられた奇跡の最終章。帰ってきた伝説のかもめが自由への扉を開き、あなたを変える!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
461
本書は1970年に書かれ、72年に突如ベストセラーになったらしい。この寓話的な作品はいかようにも読めるだろうが、私には東洋的なもの、例えば禅への傾斜が強く感じられる。当時のアメリカはヴェトナム戦争への厭戦感が全土を覆い、ヒッピーたちがあちこちで自由なコミュニティを形成していた頃であっただろう。そうした彼らのより自由であることへの憧れと、スピリチュアルな何ものかを得たいという渇仰に応えたのがこの小説だったのであろう。今もそうした求心力を失ってはいないとも言えるし、またもはや失ったとの評価も可能かと思う。2017/06/14
breguet4194q
167
単なるファンタジー、宗教的な偶像崇拝、社会における人間関係、擬人化できる人生の指南書など、読み手にとって、様々な解釈ができると思います。ベストセラーになった背景として、時代が求めていたスタイルという事はあっただろうと思います。感想は読み手に委ねられてますね。2023/07/01
小梅
154
人間をカモメに置き換えてるのでしょうね。最終章が加えられた事に関しては賛否両論あるようですね。カモメの写真が良かったです(笑)2015/09/13
ケイ
141
大変に有名な小説だが、子供の頃から何度も最初の数ページで挫折。今回は初めて通読した。三章までで完結だと主って読まれていた方達は、今回第四章が加わってどう思ったのか聞いてみたい。翻訳・解説の五木寛之氏のように、これでこそと思われるのだろうか。私は、一回読んだきりだが、最終章はいらないと思った。なぜがとても説教くさくなる気がするのだ。三章の終わりにくる余韻がとても好きだ。それをそのまま抱えていたい2015/08/29
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
122
40年の時を経て“幻の第4章”を加えた『完成版』。想像力の翼を広げて何物からも自由であろうとしたかもめ・ジョナサンの物語。『完成版』最終章では、孤高の存在だったジョナサンは『カリスマ』となり『教祖』に祀り上げられ、再び自由を取り戻すための挑戦を始める。自由を追い求めた結果、自らの存在が他者の行動を規定する教義となるという皮肉。ファンタジーは現代的な物語となった。2015/12/07