内容説明
やっと言える
ホンネの国防。
「安保」の現実。
国防と世界秩序の維持をめざす「新しい9条」をつくろう!
国際紛争の現場で武装解除に携わってきた紛争解決人が、
安保関連法成立後の日本の国防の在り方を提言。
さらに、自衛隊の根本的な法的地位と「新しい9条」づくりを国民に問う。
9条はこれまで、アメリカの戦争に付き合わないための「ブレーキ」として、見事にその機能を果たしてきました。しかし、越えてはいけない最後の垣根であった集団的自衛権が容認されてしまった以上、そのブレーキがこれまでどおり働くとは思えません。70年前にできた9条を、激動する国際情勢の中で「進化」させる時が来たのではないでしょうか。
自衛隊は「交戦権」を持たない状態、つまり「敵を殺す権利」がない状態で海外派遣されています。にもかかわらず、自衛隊は海外では「軍隊」だと見なされています。もし紛争に巻き込まれれば、その時を境に自衛隊は紛争当事者になり、敵から撃たれるリスクも高まるでしょう。このような状態のまま自衛隊を海外に派遣するなど、許すわけにはいきません。
【目次】
第1章 戦争が起こるメカニズム
第2章 世界から見た集団的自衛権
第3章 日本の国防を考える
第4章 日本が変える集団安全保障
第5章 日本の防衛と国際秩序構築を考える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
18
先に読んだ捕虜の本とかぶりますが、捕虜を想定していない当時の日本軍と、自衛隊が戦闘することを想定していない今の日本はまるで同じだなと思いましたね。国際貢献のため海外に派兵してるのに「軍法」がない。軍人も平和主義者も現実を徹底して受け入れていないことに変わりはない。著者の言うように、海外派兵から撤退し、自衛隊を軍と認めて基本的なことを整備する。同時に9条の「精神」を維持しながら、ジャパンCOINを開発、運営して国際停戦軍事監視団に自衛隊が非武装で参加する。軍事プレゼンスを排除した「戦略」があることを知った。2017/09/03
樋口佳之
5
PKOがいながら、危機に瀕した住民を見捨てた。ダレール将軍は、帰国後PTSDにかかり、自殺未遂をします。/原油って、資源でしょう。資源のために「武力の行使」をするなどと大っぴらに議論してはいけません。ましてや国会で。2016/04/13
たかひー
3
★★★★ 単なる9条賛成、反対というだけでなく、新しい考え方、方向性が示されており、興味深かった。個人的には納得しがたい部分もあるにはあったが、安全保障に関して新しい知見が得られたりと、勉強になった。2017/10/13
YOSHI-CO
2
今のPKOはルワンダ虐殺の失敗を受けて、住民を「保護する責任」が問われるようになってきたので、人道危機が差し迫っている場合には、内政干渉し武力行使もする方向になってきたとのこと。派遣される自衛隊員も「交戦」が避けられる状態ではない。これでは完全に違憲だ。武力の行使以外に、日本には非武装の停戦監視、武装解除を専門に受け持っていくという選択もあるとのこと。またアメリカなどの大国と違って「非占領者」ということで、他国と話し合いのテーブルにつきやすいという利点もある。冷静に考える選択肢を提供してくれる本。2016/07/19
Carpaccio
1
ある程度の専門的知識がないと実は賛成も反対もできないはずの安全保障問題に対して脊髄反射している人たちに是非読んでほしい一冊。飽くまで参考としてね。2017/11/14