哲学な日々 考えさせない時代に抗して

個数:1
紙書籍版価格
¥1,485
  • 電子書籍
  • Reader

哲学な日々 考えさせない時代に抗して

  • 著者名:野矢茂樹【著】
  • 価格 ¥1,375(本体¥1,250)
  • 講談社(2015/11発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062198172

ファイル: /

内容説明

自分のこと、社会のこと、国のこと、世界のこと……、考えなくてはいけないのに、考えようとすると、どう考えたらいいかわからなくなって、前に進めない。考えあぐねてしまう。――こんな時代だからこそ、哲学者は、しかつめらしい言葉を使わずにこの本を書きました。人生で一番大切なものは何か、どうして自殺をしてはいけないのか、など、むずかしいけど、私たちが気になって仕方ない問題からも逃げずに、向き合います。

目次

まえがき
I 哲学者のいる風景
前口上
1 哲学を教える
2 実技科目なのだ
3 哲学の手ざわり
4 メタ的な態度
5 立ち止まる脚力
6 バージョンアップ
7 個別性と一般性
8 案外ダメな授業
9 理系・文系・妄想系
10 高校と大学
11 坐禅ゼミ
12 引き算の思想
13 坐禅のすすめ
14 続・坐禅のすすめ
15 がまんではない
16 すべてはおまけ
17 根拠なき自信
18 身を捨ててこそ
19 大仏の話
20 神だのみ
21 散歩の定義
22 古代のご飯
23 美食の逆説
24 ジムと温泉
25 老いる
26 聞いた話
27 よく分からない
28 大学の気風
29 速さの罪
30 ドレス・コード
31 論トレことはじめ
32 論理的ということ
33 つなぎ方しだい
34 接続詞と日本人
35 論理の必要性
36 文章修業
37 入試問題
38 語学としての国語
39 作りたい教科書
40 国語を教える
41 ほめるのではなく
42 遊び友だち
43 考えさせない時代
44 考える技術
45 掛け声化
46 哲学の言葉
47 歩みをこそ
48 脳神話への叛旗
49 もやもや→すっきり
50 つまらない人間
II 哲学も、哲学じゃないことも
バラは暗闇でも赤いか?
論理的に書くために
「哲学者になりたいかも」などと考えている高校生のために
二つの授業風景
哲学の見本
無意味ではあるけれど
モヤモヤを飼い、モヤモヤと遊び、モヤモヤを楽しむ
「穴」場のお寺
タチバナ氏と今井知正先生のことで立ち話
ポリフォニー的な世界
後  記
初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

60
サブタイトル「考えさせない時代に抗して」に惹かれて読んでみた。なかなかどうして、面白い・・・面白いと興味深いの中間くらいだ。今の時代は、ますます考えさせない方向に向かっていると思うし、考えなくていい・・つまり、今、この瞬間だけの時代になってきていると感じている。考える、自分の頭で考える、体で感じる、ここができないと、一体どうなるのかということ。そんな中で「掛け声化」という一文が、それを明確に表している。それに抗わなくてはいけないのだ。2016/08/16

Nobuko Hashimoto

38
新聞連載のエッセイなどを収めた短文集。堅苦しくなく、柔らかくて優しい文章。著者は哲学は「実技科目」だという。自ら、簡単に答えの出ない問題に答える実演をする。それを見て学生も一緒に考えるのである。私は哲学者ではないが頷ける。論理的な文章を読み書きすることを学ぶ必要性、学生からの質問に次の授業の前半を使って答えるサイクルを取り入れたことにも共感。そういうスタイルは学生から歓迎される一方で、少数から「教えてもらってない」というような不満が出ることもあり、悩んでいたところ。おおいに励まされた。2016/06/13

踊る猫

36
日本の哲学者(哲学研究者、ではない)にはファニーな人が多い。中島義道、土屋賢二、永井均。しかし野矢茂樹という、ファニーとは遠そうにスマートに振る舞っている人物も実はなかなかの曲者のようだ。頭に頼らず、しかしカンに頼る。そして身体感覚を信頼して、閃きが訪れるのを待つ。この本でゴリゴリの理論が進行することを期待してはいけない。語られているのはむしろ、考えるということを本質的に語ったらこうなったという、マギー司郎のマジックのようにさり気なくしかし深い哲学の真髄だ。本書を片手に公園に行き、空気を吸いつつ考察したい2020/06/18

おさむ

36
東大哲学教授のエッセイ。身構えましたが、作者の性格がにじみ出る親しみやすい語り口でした。文章術を説く「論理的に書くために」が一番好きです。2015/12/31

はるわか

32
根拠のない自信は強い、なんたって根拠がないんだから、誰も覆せない。ただ坐る、ただ深く呼吸をする。論理的:言葉と言葉のつながり。論理:知識や考え方を共有していない外部に向けて発信できる強靭な言葉。考えるために少し情報を遮断しなければならない。考えることは答えに向けて飛躍すること、論理は可能なかぎり飛躍をなくすこと、論理は閃きなしでもやれるところを担当する。一般的な学問は「はてな」で始まり「なるほど」に至る、哲学は「もやもや」から始まり「すっきり」を求める。書くこととは読んでもらうこと。2016/11/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9868281
  • ご注意事項