内容説明
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ここで読者は「彼方(あなた)」の世界に住む、もう一人の「貴方(あなた)」に出会う。ノルマンディ地方の美しい風景の中で静かに辿る「『フェカンにて』」。経済のグローバル化のただ中で、途方に暮れる一夫婦を描く「慈善」など、語りの常識を易々と覆し、変容する現実を再定義する11の物語。長く電子書籍化困難といわれた幻の作品集、遂に配信! ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
324
いずれもが「新潮」をはじめとした文芸誌に掲載された11の短編を収録。中には「一枚上手」、「クロニクル」や「慈善」のように通俗的な(わざとそうしたのだろうが)ものもあるが、概ねは実験的な文体と手法を試みたもので占められる。「やがて光源のない」、「義足」、「異邦人#7-9」、「モノクロウムの街と四人の女」は、いずれもシュールレアリスティックな色彩を帯びつつ、それぞれに固有な小説世界を形成している。とりわけ「モノクロウム」の極度に造形的でツクリモノめいた感覚は、他に類を見ないものかと思われる。2017/09/02
アマニョッキ
51
なるほど平野啓一郎さんが実験小説を書くとこうなるのですね。すごく面白かったけれど、多分半分も理解できてないんやろうな。「女の部屋」とか誰かにズバッと解説してほしい気もするけど、解説とかで楽しむ小説じゃないんですよねきっと。基本わたしは平野さんの撰ぶ言葉に惚けるたちなのですが、途中やおら鼻持ちならない気分になったりもして、結局は平野さんの掌で踊らされている次第でありました。冷たくされてもやっぱり好き、みたいな。惚れたが負けですね、はい。2018/11/17
水色系
15
平野啓一郎さんの昔の作品が知りたくて手に取る。が、全体の2割くらいしか頭に入ってきてないような。難解。1作目「やがて光源のない澄んだ乱反射の表で……/『TSUNAMI』のための32点の絵のない挿絵」の、加齢とともに砂化していく人間の話はなんか好きだった。2022/01/07
ヨクト
13
挑戦的、意欲的、実験的な作品ばかりの短編集でした。「鏡」は短いですがドキッしました。あとは「義足」も好きですね。2017/01/13
芍薬
12
表紙のビンがフラスコビーカーに見える程、実験な一冊。むしろ文字でブロック遊びしちゃってる(女の部屋)が一番分かり易くて好きかもです。2014/04/08