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内容説明
「天声」にはパブリックなイメージがあり、ある種の客観をよそおっている。それに対して「人声」はプライベートであり、あくまで個人的な声。だから「人声天語」とは、要するに、反射神経による思考(発言)のことである。
2003(平成15)年から、2008(平成20)年にかけて起きた様々な事象の、おかしさ、うさんくささ、不思議さを、紋切り型ではない「人声」でとらえた世相コラム集。
収録された主な出来事は――
ネット心中/自衛隊イラク派遣議論/「週刊文春」出版差し止め問題/イラク日本人人質事件/国民年金未払い問題/佐世保小六女子殺人事件/ギリシア五輪/プロ野球リーグ再編問題/靖国問題/ライブドア事件/秋田小学生殺害事件/昭和天皇「富田メモ」報道/ハンカチ王子ブーム/朝青龍問題/安倍総理辞任/時津風部屋暴行死事件/「大阪名物くいだおれ」閉店/秋葉原通り魔事件/地下鉄副都心線開通 など
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
月刊の文藝春秋に連載されていたもの(5年間)で、私は当時から比較的興味を持って読んでいました。言いたいことをかなりずばずば書いているので好き嫌いはあると思います。私にはフィーリングが合って最近またこの著者のものをよく読んでいます。今読み直してみると、当時の事件などの状況がよくわかります。2016/12/22
もりくに
37
文芸春秋の巻末に、先ごろ急逝した坪内祐三さんによって書き継がれていた、スタート(2003年)から2008年までを纏めたもの。「人声天語」は、「天声人語」の対語でない、と。「天声」はパブリックで、「人声」はプライベートだから、「人声天語」は反射神経による思考とのこと。その例として川崎の古本屋で万引きした中学生が逃走を図り、電車にはねられた事件。(2003年 うっすら記憶ある。)報道直後、古書店に抗議が殺到、思い悩んだ店主は閉店を決意。一連の経過の中で、個(万引き少年)と個(新古書店の店長)の問題が、(続)2020/01/18
駄目男
17
天声人語ではなく人声天語天語である。人声天語とは、あくまでも個人的な声という意味らしいが、文筆家として読書家としてかなり豊富な知識と自信がおありだ。坪内氏は古本界では有名な人だったが先年、お亡くなりになった。本書は20年ほど前の時事を主に扱っているが、時に痛烈に、また辛辣に物事を批判している。批判精神なくしてコラムなど書けるわけがないのだが、いざ、自分もコラムニストになってみようかなという、そんな甘いもんではない。すべてのことに精通していなければ、おいそれと書けるものではなく、坪内氏のように多くの2023/08/26
Inzaghico
9
通りいっぺんの報道に感じた違和感を、とことんほじくっていくのはツボちゃんの得意技。星セント・ルイスの訃報から記憶を掘り起こして、インターネットの「正確さ」を論じた「ネット時代の『正確』な知識について」は、1980年代の漫才ブームを懐かしく思い出しながら、と、ここまで書いてツボちゃんの文章を見返したら「セント・ルイスが漫才コンビとしてピークを迎えたのは(中略)七六~七七年前後のはずである」とある。自分の主観=事実となってしまっていた。反省。 2021/11/20
マッピー
7
月刊誌に連載されたコラム。2003年から2008年まで。ああ、そんなことあったなあと思い出せるくらいの過去。例えばプロ野球のオリックスと近鉄が合併して、パリーグが5球団で行われようとしたこと。朝青龍が巡業を休んでおきながらモンゴルでサッカーに興じたこと。スーパーの店頭から納豆が消えたこと。などなど。街の本屋さんや良心的な出版社が消えていくのは私も寂しいし、ものすごく残念だ。そこは激しく同意をしておく。2017/10/10