講談社学術文庫<br> ある神経病者の回想録

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講談社学術文庫
ある神経病者の回想録

  • ISBN:9784062923262

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内容説明

「神」の言葉を聞き、崩壊した世界を再生させるために女性となって「神」の子を身ごもる……そんな妄想に襲われた一人の男は、みずからの闘いを生々しく書き綴った。それは、1903年に公刊されて以来、フロイト、ラカン、カネッティ、ドゥルーズ&ガタリなど、幾多の者たちに衝撃を与え、20世紀の思想に決定的な影響を及ぼした稀代の書物である。世界を震撼させた男が残した壮絶な記録を明快な日本語で伝える決定版。(講談社学術文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ノコギリマン

30
読むのにすげえじかんががかったすげえ本でした。本物のパラノイアが書いた『回想録』ってことで、そのなかで数多くの幻覚、幻聴が語られています。あと何回か読まないとダメだなー。『ドグラ・マグラ』とかが可愛く見えてきました笑2015/11/23

記憶喪失した男

5
読みづらく、難解だった。1903年にドイツで出版された精神病患者の回想録。120年前のドイツの精神病院も、今の日本の精神病院とたいして変わらないなあと思った。精神病院の中で神秘体験を感じていたシュレーバーだが、確かに精神病院はこのような対応をするだろうという事実が書かれていた。少数派であるといっても、シュレーバーのような精神病患者は一定数いるような気がするので、精神病を理解するのに確かな資料であると思う。2022/01/13

PukaPuka

2
ハードカバーを持っていたが読むことなく、数年前本棚のインテリアを一式古本屋に売ったとき、一緒に売った。今年の私のテーマは、インテリアを読む、にて、文庫で出たものを買い直した。訳者渡辺哲夫先生もご指摘の通り、第1,2章がバリヤーのごとくとりわけ読みにくいが、第4章は過労や不眠を機に病状が増悪する経過が書かれ、わりとオーソドックスな発病経過の患者本人による描写で、シュレーバー氏に一気に親しみがもてた。妄想的な思考がいかに立ち上がるかが細かく描写されて、面白い。「『自由』度の苛烈さ」を堪能できる一冊である。2016/01/23

amanon

1
何となし想像していたものとかなり違っていたのに、驚かされた。時折荒唐無稽としか思えない記述が見られるものの、著者の語り口はあくまで冷静でかつ知的というギャップが何とも不思議。もしもう少し前の時代に生まれていたら、この人は神経病者ではなくて、ある種の神秘思想家として扱われていたのでは?という気にさせられる。そうすると精神分析や人に精神病という判断をくだすことにどういう意味があるのか?というところまで考えが及ぶ。訳者後書きでは翻訳に苦労したとあるが、訳文は比較的分かりやすい。ただ、訳注がないのが残念。2016/02/28

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