講談社学術文庫<br> 恋愛と贅沢と資本主義

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講談社学術文庫
恋愛と贅沢と資本主義

  • ISBN:9784061594401

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内容説明

著者はM・ウェーバーと並び称された経済史家である。ウェーバーが資本主義成立の要因をプロテスタンティズムの禁欲的倫理に求めたのに対し、著者は贅沢こそそのひとつと結論づけた。贅沢の背景には女性がいて、贅沢は姦通や蓄妾、売春と深く結びついていたというのである。かくて著者は断ずる。「非合法的恋愛の合法的な子供である奢侈は、資本主義を生み落とすことになった」と。(講談社学術文庫)

目次

訳者まえがき
著者まえがき
第一章 新しい社会
第二章 大都市
第三章 愛の世俗化
第四章 贅沢の展開
第五章 奢侈からの資本主義の誕生
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

49
ウェーバーが資本主義と禁欲という逆説の論を主張したのに対して、著者は資本主義と奢侈という順接によってこの因果関係を論じています。因果関係といいますが、終始仮説であり、どちらが説得的でより深いか、最後は読者としてどちらに惹かれるかになります。本書の問題は、中国やイスラムなどヨーロッパよりも富の蓄積や生活水準の高かった地域に、なぜ資本主義が勃興しなかったかが説明できないということに尽きます。その批判を避けるためか、論じられている範囲が非常に狭く、あらゆるデータを並べているようでいて何も議論が深まっていないため2021/07/06

松本直哉

35
買わなくてもいいものを買わせたり買わされたりするのが資本主義なのだとすれば、マックス・ウェーバーの言う節倹と勤勉よりも、著者の言う恋愛と贅沢がその原理となるという説のほうが説得的に思える。中世からルネサンスにかけて婚外恋愛が盛んになるとともに一夫一婦制が有名無実化する過程と、砂糖や香水をはじめとする奢侈品が人気を博していく過程をパラレルに捉える視点が新鮮。金儲けを恥ずかしいこととする道徳律はどこにいったのやら、聖職者や貴顕から庶民までこぞって世俗的な富を求めて狂奔していくさまがユーモアを交えて語られていた2022/06/24

zirou1984

35
資本主義の誕生を貴族の贅沢の延長線上に捕え、彼らが買い集めた奢侈品こそが源泉なのだとする本書はヴェブレンの『有閑階級の理論』と共同戦線を結び、ウェーバーの『プロ倫(略)』と対峙するかに見えてその実補完関係を形成する。貴族的贅沢も宗教的禁欲も、共に資本主義に至る道は用意されていたという事なのだ。そして本書が魅力的なのはそれに加え、ルネサンス以後における愛の世俗化の道を巧みな文学的表現と様々な資料の引用によって描き出している所にもある。15世紀末のローマは娼婦が人口の7%強を占めいてたとかインド人もびっくり。2013/08/22

cockroach's garten

29
勤勉さを資本主義の芽が出た要因だとしたマックス.ウェーバーとは対蹠的に贅沢という人間の欲望が要因であると示したゾンバルト。どちらが正しいのかは置いといて、この二つの要素が資本主義社会では好まれる傾向にある。封建社会から愛においての消費という概念は変わっておらず高級品を愛人に与えることで経済が回っていくというのを感じた。また贅沢が人を惹きつけ、都市が発達するという構造にも頷ける。贅沢は道徳面から見れば忌み嫌う物だが社会から見れば経済を回してくれると歓喜の声で出迎える存在となるのだろう。2018/06/01

樋口佳之

23
太陽王ルイ十四世が愛妾ラ・ヴァリエールへの愛情に駆られ、ヴェルサイユ宮殿を建てたほか、女道楽を中心とする奢侈のため、国家財政全体の約三分の一を消費/大奥とも繋がるかなあ。いずこも同じなのかな。2018/06/12

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