まだなにかある(下)

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まだなにかある(下)

  • ISBN:9784777815043

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内容説明

16歳の少年セス(主人公)は、ある日いきなり、誰もいない町で目を覚ます。

溺れたという記憶しかなく、服すら着ていない。飢えとのどの渇きに苛まれつつ、町を歩き回るうちにそこが以前住んでいたイギリスの田舎町だと気づく。

なぜここにいるのか? なぜ人間が一人もいないのか? 家族はどうしたのか? なぜ裸なのか……?

ガーディアン賞、コスタ賞、カーネギー賞受賞作家、今世界でもっとも注目を集めるパトリック・ネスの全英ベストセラー、待望の邦訳化。
読者を最後の最後まで翻弄しつづける、予測不能なボーダーレス・ノベル最新作!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェルナーの日記

167
”仮想現実”(VR)を題材にした作品は多く、キアヌ・リーブス『マトリックス』トム・クルーズ『バニラ・スカイ』、アーノルド・シュワルツェネッガー『トータル・リコール』がある。”VR"と”現実”の区別がつかなくなるパターンで本作も同様に展開する。荘子に「夢の中で蝶としてひらひらと飛んでいて目が覚めたが、はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか?」という哲学的な説話(胡蝶の夢)があるが、彼は結局「夢が現実か、現実が夢なのか?そんなことはどちらでもよいことだ」と言っている。2017/06/11

mocha

109
結局のところどちらの世界が本物だったのだろう。もしかしたらまだ他の世界があるのか。見えてないこと、見ようとしないこと。絶望で胸が塞がれても、見方を変えれば別の未来が開けるかもしれない。溺れたり突き落とされたり、何度も痛みと苦しみに苛まれながら読むことをやめられない。混沌とした出口の見えない話だけど、圧倒的な描写力で読まされた。2018/01/14

あっちゃん

30
SF的でありながら、少年の内面のデリケートな部分も描いていて、中高生にオススメな感じ!しかし、それにしても廃れた街で突如襲ってくる奴、バイオハザードのタイラントとかGを思わせるなぁ(笑)2015/08/29

小夜風

30
【図書館】一度は絶望して自ら死を選んだセス。人生の最悪のどん底の辛く苦しい出来事も、視点を変えれば他にもまだ何かしらの意味がある筈だと、そんな風に思わせてくれるお話でした。セスが向こうへ戻ることは、死を選んでしまったあの出来事も本当は死ぬ程のことじゃなかったんだと、自分の視野が狭かったことに気づけたからだと思いました。このお話は続いていくのかな?本格的なSFなんだけど、セスの苦悩は今の子どもたちにも通じるところがあって、凄く引き込まれて読みました。面白かったです。2015/08/13

愛玉子

28
物語は16歳の少年が海で死ぬところから始まる。やがて何故か目を覚ました彼がいたのは、誰もいない街。ここは地獄なのかそれとも。この世界の仕組みがうっすらわかるまでが長いよ!わかってみるとキアヌ×ウォシャウスキー監督とか、シュワ×バーホーベン監督とか色々思い出します。十代ではとても抱えきれないほどの傷を負わされた少年少女が痛々しく、大人が助けられなかったことが悲しい。でも大人が介入してはいけない物語なんでしょうね。「なにか」が、得体の知れない不安なものから、未来への希望に変わる瞬間は良いなと思いました。 2021/02/05

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