内容説明
16歳の少年セス(主人公)は、ある日いきなり、誰もいない町で目を覚ます。
溺れたという記憶しかなく、服すら着ていない。飢えとのどの渇きに苛まれつつ、町を歩き回るうちにそこが以前住んでいたイギリスの田舎町だと気づく。
なぜここにいるのか? なぜ人間が一人もいないのか? 家族はどうしたのか? なぜ裸なのか……?
ガーディアン賞、コスタ賞、カーネギー賞受賞作家、今世界でもっとも注目を集めるパトリック・ネスの全英ベストセラー、待望の邦訳化。
読者を最後の最後まで翻弄しつづける、予測不能なボーダーレス・ノベル最新作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
170
本作は、作家アレックス・シアラーの『青空のむこう』と同じように物語の冒頭で主人公がの”死”よって物語が始まる。厳寒の寒風が吹きすさぶ嵐の海で溺れて死んでしまう。“死”から目覚めた主人公・少年セスが昔住んでいたロンドンに似た街で”死の世界”を探索していく中でセスが如何にして死んでしまったのかを語りだしていく。セスの家族がまだロンドンに住んでいた時、幼いセスと弟オーウェンに起きた事件によって家族の絆が立ち切れてしまう。慢性的な鬱に悩まされ薬に依存する父親。弟オーウェンを溺愛し他を顧みなくなった母親。2017/05/28
mocha
101
セス17歳、冷たい海で命を落とすところから物語が始まる。意識が戻ったのは幼い頃に暮らした町。誰ひとりいないその場所でつらい思い出に追いかけられる。ここは地獄?ようやくこの世界の構造が見えかけたところで下巻へ。不穏な空気に満ちたYA作品。まだまだなにかある。2018/01/13
あっちゃん
29
海で溺れて死んだはずの少年、気付くと人の気配も無い荒廃した街にいて…生前?の記憶を間に挟み、謎が謎を呼ぶ!何かしら不幸だったような少年だけど、先が気になり下巻へ!2015/08/28
小夜風
26
【図書館】「怪物はささやく」のパトリック・ネスの本。海で溺れて死んだ……筈のセスは、地獄で目覚める。そこは彼が昔住んでいたイギリスにあった家。最悪の出来事が起こった、彼だけのために作られた、彼しかいない、彼専用の地獄。そして眠気に負けて眠りに落ちる度に甦る、生前の記憶。セスの年齢が息子と同じこともあり、決して不良ではない普通の高校生が、ある日取り返しのつかない悲劇に巻き込まれることがあるかもしれないんだと戦慄する。タイトルの「まだなにかある」が、心を急かして読み進めさせる。このまま下巻へ。2015/08/09
糸巻
23
アメリカに住む高校生のセスは海で溺れ岩に頭を打ち付けて死んだはずだった。なのに意識を取り戻したら、生まれ育ったイギリスの誰もいない荒廃した町にいた…。非常に好みの設定で読み始めるが、何せ誰もいない世界なので途中まで根気を必要とした。だが、セスが死ぬ前の友人や家族との回想シーンが挟まれてくるのでテンポが良くなる。この世界が現実なのか、それとも回想シーンが現実なのかわからないまま感想は下巻で。2018/07/21