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内容説明
甥の公暁に暗殺された悲劇の鎌倉三代将軍・実朝。その実朝はなにを信じ、発信して、どう行動したか。それらを『金槐和歌集』『吾妻鏡』『愚管抄』などによって詳細に跡づけ、歴史背景とともに実像を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
98
『金槐和歌集』を残し、暗殺された事で有名な源家第三代将軍。その、時代に和歌から迫った歴史書である。通読して紙面から立ち上るのは「王たらんと欲すれど王たらず」という姿であった。文化面から都鄙一体を図らんとすれば、周囲の武士は面白からずと、官位を追求すれば、やっかまれると、難儀極まりない人生である。惨殺された兄の遺児は、宗教界に放り込み、一応の解決をと、思いきや、最終的に若いおじの命を奪うわけである。使嗾したのは、誰かとは敢えて突っ込まない著者の姿勢には同意する他なし。カジュアルに殺害される王の身体に涙せよ。2022/05/24
BIN
10
金槐和歌集を残すほどの和歌に傾倒した鎌倉幕府三代将軍源実朝。前半はかなり前に読んだので忘れているが、副題の身体というところがよくわからない。蹴鞠も好きだったみたいです。坂東武士の醜い争いに辟易としただろうし、親族の北条氏(母親含め)も癖がありすぎて辟易しただろうなあと同情します。それなりに有能そうなので、頼朝が死なず、壮年になってから将軍になっていれば、源の幕府としての基礎が作れたかもしれない。本書は歌が多めですが、歌に関する解説とかはほぼないです。2022/06/16
氷柱
7
863作目。6月4日から。タイムリーな作品。これから大河で映される部分について細かく描写されている。特に義時と政子の陰の立役者っぷりが如実に描かれる。この中からどれだけが映像化されるかはわからないが、どの部分を取り上げてみても事実を追うだけでもう面白い。人物関係が複雑に絡み合うことで歴史が紡がれていく。これだけの政治劇を三谷さんの力でどれだけ立体的なものに仕上げてくれるのか、乞うご期待である。2022/06/05
ようはん
3
源実朝というと歌人としては一流の人物であるものの将軍としては凡庸なイメージが強かった。しかし当書を読んで確かに和歌等の傾倒はあったが将軍としての職務にも熱心に励んでいた人物であったと感じた。むしろ海千山千の荒くれ鎌倉武士達を多数相手にする事自体かなりの胆力が必要な訳でそれをこなしていた時点で立派な気が。2019/03/30
9
2
頼朝は好きなので大まかにその周辺を把握してるけど、その後をよく知らないなと思ううちに実朝自身とその歌に興味が出て購入。ざっくりと彼のことが分かったけど、歌に関してはどうにも私自身が知識不足で完全に理解できるまでには至れなかった。歌の解説もうちょっと欲しかった。大陸に渡りたい実朝、めっちゃおもろいな。最後の章、本当にあっさり亡くなってしまって、色々あって時間かけて読んでたのでかなり虚無感を味わってしまった。あれはもう仕組まれていたのかなあ。だとしたら悲しい。2023/03/13