ちくま学芸文庫<br> 歴史 下

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ちくま学芸文庫
歴史 下

  • ISBN:9784480095640

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内容説明

古代地中海の国々が、アテナイ陣営とスパルタ陣営にわかれ、四半世紀にわたる激闘を繰り広げたペロポネソス戦争。野望や恐怖が人びとの運命を翻弄し、諸国の力がせめぎあうなかで、様々な政治戦略が生まれ、模索されていった。のちの時代に資するようにとトゥキュディデスが克明につづった英雄たちの名演説、諸国間の交渉の現場、大合戦の模様、そして病と困窮に倒れる民の姿は、古代ギリシア世界の全貌を活き活きと伝えるのみならず、いまなお国際政治学の教科書としても参照されている。両陣営を困窮へと陥れて幕を閉じるあの大戦争は、後世に何をもたらしたのか――。その核心に迫る傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

11
公民主義。一部も全体も同じように同等の権利が与えられている。一方、寡頭主義は大衆には危険なことを押しつけて利益を搾取するどころか、それを全部横領してしまう(110頁)。○○主義という言い方はいろいろあるが、どんな主義が社会にとってはいいイズムなのか、と改めて疑問に思う。2013/11/23

みのくま

7
トゥキュディデスの新規性は彼の著述した時間も戦地も多種多様な戦争を地続きの「ペロポネソス戦争」とまとめてしまった事にあるという。それは多分にフィクションを含んだ歴史観なのだろうが、きっとトゥキュディデスにはそうする事に意義を感じたのだ。日本がWW2敗戦後「15年戦争」とまとめた様に。つまりトゥキュディデスの発想は、アテネの敗戦をいかに総括するかにあった。彼自身アテネの将軍でもあったのだから記述が真に迫っているのも当然なのだが、そこには何か言い知れぬ情念が宿っている。彼の記述が客観的だなどと考えてはいけない2023/11/13

富士さん

4
本書は世界初の歴史書だと昔どこかで聞きました。本書が特定の立場を明示的に称揚していないからと言ってそれを客観的だとか、出展も明記していないのに当事者に語らせるから実証的だとか評価するのは的外れだと思います。むしろ本書の意義はのんべんだらりと聞き知ったことを書き残すただの記録ではなく、多元的かつ多様な事実を著者の興味と目的意識に則って取捨選別し、筋の通った”物語”に仕立て直したことにあるように思います。そういう文学としての歴史を初めて提示したという意味において、確かに著者は歴史学の開祖と言い得るのでしょう。2017/05/20

Copper Kettle

3
読んでるうちに疑問が頭をもたげてくる、なんでアテネとスパルタって戦争してるんだっけ?と。25年以上、争ってるんだもん。それが人間の宿命というのは簡単だけれど。ただ思ったのはひとつの根底に民主政体と寡頭政体をめぐる争いってのがあって、それは中世の皇帝派と法皇派の争いで都市が真っ二つに別れたのと同じというのと、その政治的な争いは現在でも同じだなってこと。あとがきで「一度や二度読んだだけではよく分からないようになっている」と書かれていて、なんだかホッとした。とはいえもう1度読むときは来るのだろうか...2024/09/20

やま

1
非常に難解。机に向かって地図を広げ、メモを取りながら繰り返し読まなくては理解できないだろう。それでもシケリア遠征のあたりは淡々とした記述なのに緊迫感が伝わってきた。2015/02/01

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