内容説明
紀元前5世紀の古代地中海世界。スパルタ陣営との大激戦、ペロポネソス戦争で疲弊したアテナイでは屍が累々とし、人びとは疫病と困窮のなか、運命の手の弄ばれるままになっていた。この混迷から立ちあがった著者が綴った大戦の長大な記録が、本書『歴史』だ。四半世紀におよぶ激闘で諸国の力がぶつかりあうなか、何が失われ、何が生まれていったのか? 迷信や伝説を典拠としたヘロドトスと異なり、夥しい資料を駆使し、多様な視点を盛り込むことで実証的「歴史学」の礎を築いたとされるトゥキュディデスが、透徹した眼差しで古代地中海の姿を活き活きと記した不朽の名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
洋書好きな読書モンガー
23
アテネとスパルタが同盟国を率いて戦ったペロポネソス戦争を描いた本。実はこの本は1971年の世界古典文学全集11を文庫本化した物で学生時代ずっと手元に置いて読んで歴史好きになったキッカケの本。ヘロドトスの「歴史」と一緒の本だったので「戦史」という名前だったけど50年ぶりに文庫本化にあたり「歴史」と改題してる。著者はアテネ軍の指揮官の1人。すごく懐かしくて出た時に買った。2013年の本。2026/03/10
1.3manen
17
「人間は暴力を振るわれるよりも不正を犯された時の方が強く憤慨するようだ」(071頁)。「富者は富を誇らず、それを活動の糧とし、貧者も貧しきを恥じず、恥ずべきはそれに勝つ努力を怠る事とする」(156頁)。それぞれの立場によって、最善、もしくは、次善策を実行しなければ社会的にはよろしくないであろう。2013/11/23
shimashimaon
7
佐々木毅教授の『政治学の名著』に挙げられていて、プラトンと同時代の出来事を記したものなので、読んでみました。戦闘の経過やギリシアの地名、民族名が煩雑で予備知識が必要と感じました。なかなか苦痛でした。ホメロスを読んでいたので多少はついて行けましたが。ラケダイモンとかアッティカとか。今朝のサンデーモーニングでは「新興国と派遣国が衝突する時がくる」のような文脈で米中関係に言及する形で紹介していたようですが、あまりピンと来ません。中国がアテナイ?本来のアテナイの民主政は主権在民と同義ではないなら、それもある。2026/05/17
Copper Kettle
6
塩野七生の「ギリシア人の物語」でペロポネソス戦争が26年も続いたと知り、さらに全員参加型民主主義のアテネ市民なので自身も兵を率いたことのあるトゥキュディデスがその戦争全体を記録している、と教えてもらったのでさっそく購入しました。この手の本は相変わらず読み終わると前の話をまったく思い出せないのだけど、とにかく当時のギリシア世界の都市国家というのが、まあ本当にバラバラでこんなのまとまるわけないな、と思う。都市国家内でもバラバラだし、そういう事情含めて規模の面でも都市国家の限界が見えてくるような気もするね。2024/08/23
hurosinki
6
アテナイ・スパルタ間で発生したペロポネソス戦争の戦記。第1章、特に冒頭の「考古学」と呼ばれる部分は権力のパターンに関する史的観察としても読める 国内の安定が権力の構成要素として不可欠であるが(本書下巻の解説と訳者の論文「トゥキュディデスの主観 : 考古記の構造を通して」を参照)、アテナイが敗北した直接の原因は「国内における個人的政争」により内部崩壊をきたしたためである(2巻65章)。2023/07/15
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