内容説明
社会問題を解決しながら経済的リターンを得る「ソーシャル・ビジネス」によって、貧困のない世界は実現するのか? ユヌスの地道な努力が実を結び、小さな村で産声をあげたグラミン銀行。貧しい人向けの住宅ローンや健康保険などの新規事業を次々に立ち上げ、ヒラリー・クリントンら世界の有力者の支持も集めるまでに、大きく飛躍していく。人間が持つ能力を信じ、果敢にチャレンジし続けたユヌスの半生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
人間
9
誰の利益となるビジネスか?といった点がぶれない。政治はやはり腐敗するもの。施しは真の解決にならない。大きな政府を否定するけど、資本主義社会での「欲」ベースで動く市場に対しても否定的だ。個人個人が創造性を発揮して、雇われるのではなく起業家になるべきで、支援をするなら、そのためのことをすると良いのだそうだ。この本を読んで思ったのは、どんな手法を取ろうとも、やはり人間性が社会を構成するのだということ。ユヌス教授は経済学者や、起業家というよりも、人を育てる教師として優れている。訳者が猪熊さんということにも大注目。2020/05/28
daidainngo
9
読んでいてパワフルな力を感じた。貧困を無くすにはどこでもやり方は似ているのか、と驚いた。バングラデシュの貧困もアメリカの貧困も結局のところ自立する力が必要なのかな。自立するための資本を提供するのがグラミン銀行だとわかった。最近、日本でも貧困が問題視されている。ユヌスさんの産み出したパワフルな力が日本も必要なのではないかと感じた。貧困を博物館に展示する世界に生きてみたい。2017/04/20
Francis
6
下巻は自伝と言うよりもグラミン銀行の概要、そしてマイクロ・クレジット論。マイクロ・クレジットが貧困に陥っている人の潜在能力を引き出し、自立した生き生きとした生活を送れるようにする仕組みであることがわかりやすく書かれている。このマイクロ・クレジットはバングラデシュのみならず、アメリカ合衆国など先進国でも広がりを見せつつあり、貧困の解消にどこまで役立つか楽しみである。2016/03/14
isao_key
5
下巻はグラミン銀行が世界に広がっている様子や新しい事業、哲学が語られている。グラミン銀行の経営手法はこれまでの社会の通例や常識には真っ向から反するものであった。結婚時の持参金の支払い、幼い年齢での結婚、農村の女性の酷使。企業に入る際に支払う戻されない手付金、面接時に支払う賄賂など前近代的な悪しき習慣には、すべて反対した。ユヌス教授は既存の銀行にも疑問を抱く。審査にカード、免許証、パスポートなどで識別し、人間そのものからは判断しない。本当にお金が必要な人は身分を証明するものがなく、字も書けない人が多い。2017/06/28
てちてちて
3
表紙の写真のように彼は多くの貧しい女性を笑顔にしてきたに違いない。上巻はユヌス氏の半生にスポットを当て、この下巻はグラミン銀行について多くを語っている。貧困のない世界を作るという高い理想を掲げ、同志と乗り越えていくエネルギーはどこから生まれてくるのかと疑問に思えてしまうほど凄まじいものを感じる。大学教授もノーベル平和賞もグラミン銀行総裁の地位も全て彼にとっては貧困をなくす過程でしかないのだと思う。自らのためにだけに働くことに精一杯になっている自分に緩やかながらも喝を入れてくれる1冊。2016/11/28
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