平凡社ライブラリー<br> 貧困の哲学 下

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平凡社ライブラリー
貧困の哲学 下

  • ISBN:9784582768213

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内容説明

マルクスが嫉妬し、社会主義・無政府主義に決定的影響を与えた伝説の書にして、混迷の21世紀への予言の書。待望の本邦初訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

cockroach's garten

23
上巻ではプルードンの思想が沢山見え、今回は始終他者や既存の思想に対する批判が目につく。そしてお馴染みの相手の考えを全て展開し、その中の矛盾を探し当てる。マルクスはプルードンを誤解をされる人物、生きた矛盾とまで評している。プルードンは誰に対しても挑むので彼がどこの陣営に属するか不明瞭だからか。所謂左派、右派にプルードンは収まらない。彼はどちらでもない無思想。まさに思想のアナーキーにいる。捉えがたいこの男は実に興味深く、解りづらい。だが彼の批判は実に的を得ていると思う。2017/08/22

壱萬弐仟縁

23
自由貿易の理論は政府も民衆も嫌っており、その弊害は普遍的、永続的だが、社会に豊かさをもたらし、理にかなうものと証明しなければならない(35頁)。現代はTPPなどのグローバル化の自由の意味を問い返さねばなるまい。信用は、貨幣の列聖化。貨幣が生産物に王として君臨することの宣言。信用は、反保護貿易主義への正式の否認(146頁)。信用の窮極の目的は、価値の構成に到達すること。価値を金銀貨幣のようにあらゆる支払いで受けとれるようにすること(171頁)。現代病は金への執着。信用の欠乏(176頁)。2015/02/05

Fumoh

2
下巻も同様、相互性の主張が見られるが、その半分以上は雑多な話題における社会批判(論理矛盾の指摘)に当てられる。ただし意外かもしれないが、プルードンは何から何まで反対する気難し屋ではない。共和主義者の事なかれ主義から生まれる中央集権性、社会主義者のユートピア幻想と官僚機構への心酔を主に批判している。プルードンの思想がはっきりしないのは、彼にとって最大の敵は現今の「矛盾」というもので、その矛盾の解消点を、まず重大な研究テーマとしているからだろう。しかし「相互性」は一つの答えである。彼の著作を読んでいると、2024/02/20

古川

2
現代の視点からみるとプルードンは女性差別主義者で(この本も読者に男性しか想定していない)、さらに反ユダヤ主義者でもあるが、これは19世紀欧州知識人としてはふつうのことであって、プルードンは思想的に当時の常識から逸脱しない範囲の人物であり、あらゆる点で規格外の人物であるマルクスよりも同時代人の共感を得やすく、そのぶんだけパリ・コミューンなどでも影響力を発揮しえたのではないかと思う。急進的共産主義者の冒険が一通り失敗に終わった現代においてはプルードンの通俗性こそが問題を解決する原動力になりうるかもしれない。2017/10/15

澄川石狩掾

1
「所有とは盗みである」といったことばのように、ずばりとした言いきりは過去1000年間にはない」(383ページ)という一節に著者の自負を感じた。是非とも再読して理解を深めたい。2022/05/15

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