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内容説明
800編もの短編小説を生み出してきたマエストロがみずから解説・案内する、短編小説の醍醐味。短いだけに、あらゆる技法を駆使した作品は、おもしろさも多彩。小説創りの源泉と技をも教えてくれる。向田邦子、芥川龍之介、松本清張、中島敦、新田次郎、志賀直哉、夏目漱石、ロアルド・ダール、エドガー・アラン・ポーなど10人の作家の、名作やユニークな作品を具体例として選んで特徴を解説し、短編の構造と技法に迫る。短編小説をより楽しく読むためにも、また書くためにも役立つヒントが満載。
目次
第一章…短編小説はおいしいぞ
第二章…向田邦子〈鮒ふな〉
第三章…芥川龍之介〈トロッコ〉〈さまよえる猶太ユダヤ人びと〉
第四章…松本清張〈黒地の絵〉
第五章…中島敦〈文も字じ禍か〉〈狐きつね憑つき〉
第六章…新田次郎〈寒さむ戸との婆ばあ〉
第七章…志賀直哉〈赤あか西にし蠣かき太た〉
第八章…R・ダール〈天国への登り道〉
第九章…E・A・ポー〈メエルシュトレエムの底へ〉
第十章…夏目漱石〈夢十夜〉
第十一章…阿刀田高〈隣の女〉
エピローグ
引用文献・主な参考文献一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kanonlicht
29
名だたる小説家の短編作品がどのような発想をもとにつくられたかを、短編小説の名手である著者が自分の創作手法を交えつつ解説する。小説家には自分の「工房」があり、手にした素材(見聞きしたもの)が同じでも、工作機械によって別の物語になるという話はなるほどと思った。同じテイストの小説を書き続ける小説家はさながら一つの技術を極めた職人で、ミステリーもSFも純文学もいける小説家はたくさんの加工技術を持つ工場。小説が書けない人は、工房の道具が足りなくて素材を加工できないと考えると確かにしっくりくる。2024/03/26
還暦院erk
17
図書館本。スイスイ読了。しかし、これでまた読みたい本が10冊くらい増えてしまった!まずはR.キール『キス・キス』(早川書房)か。阿刀田さんの各短編についての寸止め説明が絶妙で、すぐさまそのお話を最後まで知りたくなるんだこれが。2019/06/01
chie
15
冒頭、短編小説の存在理由が述べられていて、なるほどと肯きはしたものの、一言でまとめるとなると、頭を抱えてしまいます。アンソロジーとかオムニバスが編集しやすいのは、短編小説の魅力の一つだろうなと思います。この本は阿刀田さん自身も含めて10人の作家の作品が俎上にのせられ、阿刀田さんの手によってさばかれています。それぞれの作者がどんな生涯を送り、それがどう作品に絡んでいるのか簡潔に紹介されているのが興味をそそられました。私は読んだことのない本ばかりでしたが、どれもこれも原作を味わってみたくなりました。2019/02/23
MIKETOM
11
短編の名手、阿刀田が短編の魅力を書いた本。文学史に残る短編の名手たちとその代表的作品を取り上げてあれこれ解説をしていく。向田邦子、松本清張、ポー、芥川龍之介、R・ダール等々。このアイデアはこういう発想を経て得られたとかこういう思考法で練られたとか、短編小説家らしい視点からの解説が具体的でよかった。ラストに取り上げたのが阿刀田自身であるのが面白い。短編に生涯を捧げたような阿刀田による短編賛歌であり読書家へ向けた短編のPR書でありもっと短編が広く読まれますようにと祈った本。2018/04/30
Re哲学入門者
6
図書館本。レシピとタイトルにあったため、短編小説の書き方本かなと期待したが違った。基本的には有名な短編小説の構造的な解説。単に内容の解説ではないため、ある意味レシピとしても読み取れるのか?2025/02/27