内容説明
かつてはロボット研究が生み出した最先端機種として、期待を集めていた人型ロボット〈ピイ・シリーズ〉。しかし、現在ではその役割を終え、絵を描くだけの無用の〈残存種(レリクト)〉と呼ばれ、各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男性、人生を踏み外しかけた青年――ピイと出会った人々は、姿だけを人と同じくするロボットの瞳に何を見いだすのか。感情を持たないピイ、その傍に寄り添う歳をとらない少女。かれらとの対話を通して揺らぐ人々のこころを柔らかに描き出す、すぐそこの未来の、希望と祈りに満ちたSF連作短編集。/解説=三村美衣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃんondrums
24
久しぶりの菅浩江、女性らしいSFと言ってよいのか、人の心の闇や残酷さを描きながらも、残るのは柔らかく優しい印象だ。役割を終え放浪する人型ロボットに映し出されるのは、人間の姿、人の心なのだ。ロボットはそこにいるだけだが、人型であるからこそ、私たちはそれらに感情を動かされてしまう。気づきのある作品だった。2018/08/02
ばななな
10
ロボットの存在意義ってなんなのだろう。 アイボが大人気な現在。人と繋がること、人がロボットに対して感情を抱くこと。 何か役にたつことではないもの、ペットボトルだったり、レンタルなにもしない人だったり…まとまらない思考。 でも、読んでよかった。美しくて少し寂しいお話。2020/02/22
芙蓉
10
ああ、いいお話だ。少しさきの、未来のお話。最先端技術を用いて作られた人型のロボット、プロフェッショナルの頭文字を取って「ピイ・シリーズ」たち。しかし現在は絵を描くだけの無用の存在として扱われ、邪険にされていた。ピイたちはただそこにいて絵を描くだけなのに周りの人間たち―ピイと出会った人たち―がロボットに何を求めるのか。ブリッジストーリーには最後の最後で騙されてしまいました。「シュガー・ピンク」がお気に入り2016/07/30
CACHUMIN
7
人がロボットを機械と割り切って接することができないのはしょうがないのかね。人形にもぬいぐるみにもヒトを投影してしまう。ましてや人型となるとなおさら愛したり憎んだりしてしまうのかな。2015/12/03
キイ
7
人間とロボットが共存する夢のある未来のお話を想像していたが、ちょっと違ったので自分的にすっきりしない。面白くないとは言わないけれど、分かったような分からないようなお話だった。2015/09/06