内容説明
「入居者募集中 ご相談は斎藤家(大家)まで ※わけありの方も大歓迎です」という貼り紙のある、少々年季の入った〈斎藤ハイツ〉。一階と二階に二部屋ずつしかないこの小さなアパートには、変わった住人たちがひっそりと暮らしている。 近くにあるマンションを見張っている、犬連れの老人。漫才の練習に明け暮れている怪しげな二人組。押入れの奥に三千万円を隠している若者。一緒に暮らす少年に人の殺し方を教えている殺し屋……。 彼らは教えてくれる。 生きていくのは難しく、苦しいことばかり。けれど、人生は捨てたもんじゃない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソラ
55
連作短編集。ゆるーく繋がっている感じで、最終話で回収って感じかな。2話目が良かったかな。2014/04/26
いーたん
45
ひとつひとつの話が短編として独立しつつ、最後は繋がってくる。そして、そのひとつひとつの話がほっこりするような、ちょっぴりドキドキするような、素敵な話でした・・・が、いかんせんちょっと長い。少し間延びというか、挫折しそうにもなりました。2014/05/17
わんこのしっぽ
34
古びたアパートの訳あり住人を見続けた一人の女性の話。伏線的な物もあるけどアッサリとした読後感でした。2014/07/18
seraphim
34
書店の平台にならんでいたのを、タイトルと表紙に惹かれて購入。衝動買いだったけれど、これは当たり。斎藤さんが自宅の隣に持つ、斎藤ハイツの住人達を描いた5編の短編集。それぞれ独立した話になっていて、各短編には「笑う角には空き巣が来る」など、ちょっと物騒なタイトルがついているのが、面白い。タイトルは物騒だし、探偵、空き巣、泥棒、殺し屋、魔女が実際に登場するが、読後感はどの話も明るい。ぼんやり読んでいたので、最終話になるまでしかけに気づかなかったのがちょっと悔しいが、満足できる一冊だった。2014/05/12
dr2006
32
何気に手にとった本作、初めて読んだ作家さん、読みやすく面白かった。「わけあり・・」だなんて、装丁の可愛いイラストに反して何かが出てきそうな疑心暗鬼なタイトルだけど、心がほんわかするストーリーだった。5編の連作短編なのだけど、最終章には、おやっ!と思うちょっと面白い「仕掛け」があって、本作一冊全体の立体的な統一感を出している。実際、「疑心暗鬼」も一題材としていたり、朱川さんのようなあんてぃーくな香りが好きな方にもお薦め(笑)2015/06/24