内容説明
航空隊指令から呼び出しがかかった。「特攻志願する者は一歩前へ」。生死の選択を賭けた練習生の心を通して、戦争の真実を見た、表題作、他一編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
16
すでに太平洋戦争の敗色が濃くなった頃の予科練における若者たちの物語。国を護るべく思いをもって予科練に集まってきた若者たちであるが、飛行訓練のための飛行機ももはやない。そこでの毎日はパイロット養成のための技術習得というよりも精神を鍛えるための訓練の繰り返し。指導員は戦場で生き残った古参兵で荒くれ者で、訓練の名を借りた”しごき”の日々が続く。個人の人格もなければ、生命すらも軽んじられる狂気の組織である。そんな中、いよいよ戦局は厳しさを増し、若者たちは特攻志願を迫られる。生死を分ける一歩が重たすぎる。2014/05/07
wearnotequal
9
特攻に志願するものは前に出よ。 その一歩は今では想像できないほど重いはず。判断できない若者も無理に前へ出た。そんな中での日常の描写は興味深い。震洋は知っていたけどブリキのボートに自動車のエンジンで特攻なんて現代ならテレビのバラエティー様柄。それに有無を言わせず命を掛けさせられた当時の若者も悲惨。2015/01/18
さるぼぼキング
7
たった一歩前に出るかどうか、死と確実に直結したその一歩を踏みだす決断を16,7歳の少年にある日突然求める、この残酷さは到底理解できないもの。読んでいてただただ身につまされる・・・ 軍隊の日常もマンガのような苛烈さで、戦中を生き抜いた人も出身階級によって軍隊や戦争に対する認識が異なるのもうなずける。2013/11/05
あられ
5
再読 学生のころに読んだ。あの時は出てくる人物に年齢が近かったせいか、自分に重ねて「一歩がだせるか?」と読んでいたように思う。今は年を重ねて、純粋な心の若い世代が、大人から聞かされる、教えられる、与えられるもので、その都度まっすぐに突き進むさまにドキドキした。戦争しに行かない…今の人は何よりもそれを心棒にしてほしい。淡々とその当時の状況を描いた良書だと思う。2018/01/30
シャチ
4
知人の薦めで本書を知り興味を持って読めました。敗戦末期将来有望な16才の若者達が予科練に志願し現在では考えられないほどの理不尽な環境の中で耐え青春を過ごし逝きて散っていったかを隊員らの目線でリアルに表現されていました。予科練生は精神年齢がはるかに高く平和ボケした我々が恥ずかしく思うが、予科練生は勇敢かつ荒削りで衝動的な行動には共感できる。しかし飛行兵として志願した若者達を軽易で疑わしい簡易ボート「04艇」に乗せてたのは情けない海軍だと強く思った。
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