内容説明
患者を裏切り、利益を食らう者たちを許すな。
降圧剤「バルサルタン」をめぐる、
巨大製薬企業・ノバルティスファーマと
大学病院の癒着に迫った900日--!
日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞、調査報道の真骨頂!
「論文不正」--記者の元に届いた1通のメールから全てが始まった。
ノバルティスファーマ日本法人社長への直接取材、臨床試験に関与した
元社員自宅への訪問、たび重なる謝罪会見、厚労省の検討委員会、内部告発者の
出現……二人の新聞記者が、地を這うように現場を駆ける!
「この機会を逃したら、製薬企業と医師の関係は当分変わることはない」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
17
STAP捏造問題の内幕ものも面白かったのですが、今回のノバルティスの臨床試験改ざん疑惑の方がより読み応えがありました。取材の過程を探偵小説風に書いているので、専門用語は頻出しますが、素人にものみこめます。透明性・法令遵守が求められる時代になった製薬会社と医療界の関係ですが、なかなか変化への対応は進んでいないようで闇はまだ深そうです。2015/05/25
ソウ
4
自分で作ったストーリーを権威のある人に語らせて自分に有利な広告として利用する自作自演の営業手法はどの業界にもあること。ただ、医療となると話は別、なぜなら、健康保険という国民のお金が詐取される上、何よりも患者の生命に関わることだから。本件は製薬会社と官・学との癒着の氷山の一角に過ぎないだろう。このような癒着を許しているのは他ならぬ自分を含めた国民で、万事誰か他人がちゃんとやってくれるはずという無責任・無関心さが招いている。ブロックバスターとは年1,000億円以上の売上を上げたヒット薬のこと。2015/01/11
桜流星
3
2013年に発覚したバルサルタン臨床試験の疑惑を暴くためノバルティスファーマと大学病院の癒着に迫るノンフィクション。東京慈恵医科大学で行われた慈恵ハートスタディへから始まった不正の疑惑は、ノ社の社員が関与していたことが疑われ、後に京都府立医大、滋賀医大、千葉大、名古屋医大へも波及し大きな問題となった。 臨床試験に携わる一員として、身に染みる一冊。新薬の開発が国民の信頼を裏切ってはならない。そのために自分たちが何をしなければならないか、考えさせられた。 星四つ。 ★★★★☆2016/01/30
YU MUNA
3
医療界の一端を見た。今日のニュースで業務停止命令が出たと報じられていた。この偽りの罪は重い。2015/02/03
Reee
3
疑惑の発覚以前、年間売上げ1,000億超、総売上げの1/3を占める正に日本ノバルティスのドル箱医薬品ディオバン。製薬会社と医療機関や研究機関の癒着や過剰接待が常態化していたことは医療従事者なら殆どの人が知るところ。ただ今回の臨床試験結果の改ざんは一線を越えてしまっている。降圧効果は問題ないと言え、心腎保護作用のアピールによって他のARBの降圧剤より優位に立ったのも事実。患者負担は1〜3割、つまり残りの7〜9割は僕等が納めている保険料から支払われている。ノバルティスはこの事実を重く受け止めているのだろうか。2015/01/21
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