内容説明
西荻窪。東京23区内にあるのに、どこかゆるりとした時間の流れるレトロな街。 そんな街の片隅に、いまどきちょっと懐かしいラジオ局があった。放送範囲は西荻窪駅から半径数百メートル。担当するのは、夢破れてしまった大学生三人組。 ナレーター志望の香奈、作曲家志望の奈須野、ディレクター志望の松任谷、それぞれに夢を抱えつつも足踏みしている三人が、何かの拍子に放送を耳にしたリスナーのご相談を解決したりしなかったり、たまには夢を叶えたり。 今日もにぎやかに放送中の街角ラジオ、あなたも聞いてみてください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
52
これは面白かったです! こういうナチュラルな作品が読みたかった! 自分の夢を前に足踏みする大学生三人が始めるミニFMという設定も無理がなく、放送を通じて少しずつ広がる人の輪の描写もいい! また三人の別のお話も読んでみたいですが、綺麗に終わっているから難しいかな? 私はとても素敵な作品だと感じました。2015/07/16
hisato
49
本棚の奥でひっそりと眠っていたのを、読友さんの本棚見て、思い出し、久々に再読しました。 一度は就活で挫けそうになった西荻窪在住の3人の男女の話です。 高校の時以来、ラジオも聞かなくなり、ミニFMはこの本で初めて知りました。ストーリーもそうですが、アナログなラジオがそうさせているのか、とても優しい話です。なんとなくスタートアップで起業しようとしているようにも感じますが、新しく何かを始めようとする際の面白さが伝わってきて、読んでいて楽しかったです。 最後は絵に描いたようなハッピーエンドでしたが、良かった。2016/10/09
ソラ
46
雰囲気が暖かでじんわりとする話でした。主人公が葛藤はわからなくはないけれど、気を使って自分はプロデビューを諦めようとするのは逆に二人が気に病むと思うんだけどなぁとは思ったけれど…。2015/06/13
まりも
44
声優、ディレクター、作曲家デビューという夢を叶えられなかった3人が、行きつけの喫茶店のマスターに勧められてFMラジオのローカル番組に挑戦する…な話。ちょっと盛り上がりに欠ける気もしますが、穏やかな作品の雰囲気と悪戦苦闘しながらも一生懸命リスナーと向き合おうとする3人の姿は中々良かったです。特にリスナーや松くん、なすのんに応援されて、うさみんが夢に向かって新たな一歩を踏み出す最後の展開は胸にジーンときました。1巻で綺麗に纏まっているので、次は失恋探偵の続編を読みたい所です。2015/05/26
よっち
41
ナレーター志望の香奈、作曲家志望の奈須野、ディレクター志望の松任谷と夢に足踏みしている三人が、行きつけのカフェの店長の薦めでFM街角ラジオにチャレンジする物語。初っ端から大失敗をやらかした三人が、リスナーと体当たりで向き合っていくストーリーは試行錯誤感がわりとよく出ていた印象。真摯に取り組んで作り上げていったことで生まれた一体感が転機を迎えた時、逡巡するその背中を押す仲間たち、そしてリスナーたちの応援する声もまた暖かくて、こういう関係はとてもいいなと思えました。次回は新作か続編かいずれにせよ楽しみですね。2015/05/25