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内容説明
脳の縫い糸―通称“ユア・フォルマ”ウイルス性脳炎の流行から人々を救った医療技術は、日常に不可欠な情報端末へと進化をとげた。縫い糸は全てを記録する。視覚、聴覚、そして感情までも。そんな記録にダイブし、重大事件解決の糸口を探るのが、電索官・エチカの仕事だ。電索能力が釣り合わない同僚の脳を焼き切っては、病院送りにしてばかりのエチカにあてがわれた新しい相棒ハロルドは、ヒト型ロボット“アミクス”だった。過去のトラウマからアミクスを嫌うエチカと、構わず距離を詰めるハロルド。稀代の凸凹バディが、世界を襲う電子犯罪に挑む!第27回電撃小説大賞“大賞”受賞のSFクライムドラマ、堂々開幕!!
著者等紹介
菊石まれほ[キクイシマレホ]
第27回電撃小説大賞“大賞”受賞の『ユア・フォルマ―電索官エチカと機械仕掛けの相棒』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
64
日常に不可欠な情報端末へ進化したユア・フォルマを用いて、重大事件を解決する探電索官エチカ。彼女と新たな相棒になったハロルドが、世界を襲う電子犯罪に挑む近未来SFミステリ。情報処理能力を持て余気味で同僚を次々と病院送りにしてきたエチカと、新しくコンビを組んだヒト型ロボット〈アミクス〉のハロルド。スマートでそつがない彼の言動に戸惑い、時には衝突しながら捜査する事件は、それぞれが抱える過去のトラウマを刺激せずにはいられなくて、それでも逃げずに向き合って乗り越えてみせた二人のこれからをまた読んでみたくなりました。2021/03/10
ナギ
37
初刊は人を補助する為に脳に埋め込むユア・フォルマの拡張部分を捜査する電索官の主人公と、機械で出来た人間に従うアンドロイドとのコミュニケーションに伴う物語と言えば良いだろうか。大賞応募作なのできちんと1作で完結しており、大きな伏線も見えないが受賞刊行された事で次作以降に期待したいですね。2021/12/20
のれん
37
一言で言うと優秀作。 目立った新規性はないが、互いに秘密と悪意を隠し合う緊張感あるバディ刑事ものが上手く展開できていた。 また視界に直接できるネット環境というよくある設定の中で提示した小道具を最後まで推理の材料に出来てた所は見事。ミステリとしては弱いがホームズっぽい探偵のカタルシスは出てた。 何より生意気で純情な女主人公と、キザなくせに直球に弱いイケメン相棒のタッグが面白い。ホームズとワトソンの関係を逆にしてるのも面白い。 エチカはもう少し大人びても良かったがイラストも申し分なし。気合いの入った作品だ。2021/03/10
鮫島英一
36
人とロボット、現実と電脳。この手のSFクライムサスペンスは伊藤計画のハーモニー、攻殻機動隊など傑作が多い。挑戦者となる作者は覚悟を、読者は地雷を恐れぬ勇気を求められる。多くが討死する中で、ユア・フォルマは困難を乗り越えた作品だろう。拡張現実が暴走したとき、猛吹雪の幻想が現実を侵食し、その体を死に至らせる。この魔法の如き現象は、「高度に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」と定義したクラークを思い出させる。ハーモニーや攻殻機動隊の香りを残しつつ、新たな世界を指し示した作品、それがユア・フォルマだ。2021/11/16
わたー
34
★★★★★積読消化。電撃文庫大賞の大賞受賞作。脳症のパンデミックのせいで、人々が脳に紐状の端末「ユア・フォルマ」を埋め込んでいるという別の世界線を舞台に、電子犯罪の捜査官を主人公にしたバディもの。かなりSF色の強い骨太な作品で、人々の生活に根付いた「ユア・フォルマ」と「アミクス」という二つのガジェットを上手く使いこなしているなと。更には吹雪の幻覚を見せるウイルスとそれに関する一連の事件、主人公のトラウマなど全てのピースを余すことなくはめ込んでいて、本当に新人かよと驚くほど。2021/06/06