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内容説明
人口増加率はアジアの2倍
年率5~6%で経済成長するフロンティア
アフリカ・ビジネスの
戦い方が見えてくる
1990年代に開発された防虫蚊帳「オリセットネット」。防虫剤が練り込まれたポリエチレン製の糸でつくられている。現在では、アフリカをはじめとする海外の途上国で、マラリア防除などのために年間にして数千万張り規模で使われている。発売当初は思うように売れず、在庫の山を築く。
しかし、転機はやってくる。9・11テロ、WHOから「全面推奨製品」認定の獲得、世界経済フォーラム「ダボス会議」での出来事。こうした機会を見逃さず、事業を拡大していく。さらに、公共入札市場から、小売りへの展開を始める。ケニアのスーパーマーケットに置かれ、市場シェアでトップを獲得する--。
日本企業のアフリカ進出を成功へと導く「フロンティア市場の戦い方」を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
30
オリセット®ネット:日本の化学メーカーが世に送り出した、高性能蚊帳(1頁)。文化同士の衝突をもって、いかに良い方向に文化変容させることができるのかが、新規事業を回して価値を生み出すエンジンとして機能しうる組織作りの肝(93頁)。図表12 神崎氏が書いたポジショニングプラン。どれを取っても優れている、あらたな価値を持ったブランドの投下によって、競合蚊帳の総体的な価値低下を狙うべき(233頁)。交流を頻繁にすることがチーム・ビルディングの手っ取り早い方法。2015/12/07
Motomi Kojima
7
マラリアの予防策として農薬を網にしみこませた蚊帳、オリセットを住友化学がアフリカに流通させたという話。日本人の強い思いが実になり、アフリカのBOP層、ピラミッドの下の最も貧しい人たちの生活を変えていく。かつて強く憧れた話であり引き込まれた。ビジネス本としては今年一番。反面、農薬に満ちた製品を配っていくリスクは気になる。2016/07/16
yyrn
6
アフリカでマラリア対策に蚊帳を売る。防虫薬入りの蚊帳を作れば付加価値が高まるだろう。とここまでは中学生でも発想するだろうが、誰が作ってどうやって売るか。そこにたどり着くまでのビジネスマンたちの奮闘を丹念に追ったノンフィクション仕立ての本で読みやすく、また多くの刺激を受けた。特に次々と立ちはだかる課題を乗り越えるために、時には時間が必要だったり、選手交代を余儀なくされたり、チームワークが功を奏したり、思わぬところから救いの手が差し伸べられりと、その先の展開が知りたくなる企業小説を読んでいるようだった。良本。2015/10/06
Yoshiki Ehara
6
本書は、以下の3つの点で他に類のないビジネス書になっています。まず、新しいビジネスを切り拓いた本当の実話であること。次に、チームのメンバーが執筆した、迫力のある熱いノンフィクションになっていること。そして、著者がプロのマーケターであるため、本書が冷静な分析を踏まえた最高のケーススタディーになっていること。 BOP市場での戦い方のヒントにもなるだけでなく、既存の市場で頑張っているビジネスパーソン、そして頑張っている日本人に勇気を与えてくれる本だと思います。2015/09/27
Lila Eule
5
WHO、国連、TIME表彰、ダボス会議、現地生産、大型商談、ブッシュ見学など、出だしは派手なノンフィクションかと思ったが、すぐにストーリー仕立てのマーケティングのレクチャー本風になり、解説コラムまで登場し、アフリカでのスタートアップの理屈解説も頻繁になる。ノンフィクションとは違う、マーケティングの物語仕立ての事例紹介で、住友化学での伝統的大企業の限界克服活動の紹介でもあった。面白い素材もあるけれど、読むのに疲れる文章、構成だった。推敲したのと言いたくなる文脈もあり編集者の仕事って何だろう。2015/10/30