内容説明
2014年12月31日夜11時すぎ――。上海の恒例行事となっていた新年のカウントダウン映像ショーを観るため、観光名所である外灘(バンド)大勢の人々が集まっていた。そこで、36人が死亡、42人が負傷する、群衆の転倒事故が発生した。大惨事となった直接的な原因として、警備や告知の不備などが指摘され、一見、日本で起きた明石花火大会歩道橋事故と似た事件と見られがちだ。しかし、子細に検証していくと、なぜか犠牲者の出身地につじて箝口令が敷かれるなど、幾つもの謎が浮上してくるのだ。当局はいったい何を隠そうとしているのか。読売新聞編集員の著者が、習近平政権の暗部を抉り出す――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
in medio tutissimus ibis.
3
2014年末、上海で起こった36人が圧死した。その多くは上海市外からの出稼ぎで、戸籍の差別などで孤独感を募らせる若者だった。彼らは上海に暮らす人間としての連帯感を求めて恒例となったはずのカウントダウンへ出かける。しかし、反腐敗キャンペーンで中央集権を勧める習近平の政敵の膝元である上海でも官僚の委縮、事なかれ主義が広まりイベントは密かに場所を移していた。それは正しく広報されず、インターネットを介して若者は集い、死んだ。事件は「自発的行為」とされ、責任を取ることを拒んだ当局からおざなりな対応を受けるに留まった2015/09/02
wearnotequal
1
この件も先の中国新幹線事故、最近の南京爆発も原因は公表されない。すなわち教訓として残らず再発のリスクがある。この国の共産党支配に変化がない限り、負のスパイラルからは抜け出せないだろう。2015/09/13
おおきなかぶ
1
この国は、とにかく共産党が第一なんですね。党内の権力闘争は常人には及びもつかない程の魑魅魍魎みたいですし。自分達の中だけで済むので有れば構わないが、周辺に影響を及ぼすから手に負えん。2015/08/14