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内容説明
倫理=政治=哲学論考。人間の起源についての真実。存在を・欲望を・責任を・正義を・国家を考え抜いたレヴィナス。「他者」の「顔」が私に到来するとき哲学が始まるとは、どういうことなのか? 「砂嵐のような文体」で語られた真理に迫る渾身の書き下ろし。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
8
レヴィナスの解釈書なのかどうなのか、よくわからないが、著者自身、よくレヴィナスを理解していないことは明らかではないかと思う。形而上学(ONTOLOGY)を脱構築する意味においては、本書の前部で「存在」や「無」の議論を展開しているし、特に第三章の言葉についての議論展開がとてもすばらしいとは思うが、ベルリンのアパートに前の住居人がおいていった鉢植えやモノを捨てるかどうかという議論展開を用いて、「汝、殺すなかれ」というレヴィナスの哲学論の応用なのかな?--には、すこしがっかりした、というか、驚いた。「ええっ?!2012/11/11
グスタフ
5
この本はレヴイナスの解説書ではない。「他者のために」。それは、自分を欺き、安心させるだけのエゴイズムからきているのではないか?、斉藤氏自身が自問自答し議論が、ダッチロールしながら、倫理の未決性に思い至るのだ。「エゴイズムではない人生は信頼するに値しない。」そのとおりだ。レヴイナスをいくら解説したって、理解できるわけがない。できるのはあの砂嵐のような文章に身をさらしながら、つまずき、悩み、自己に問いかける事だけだ。2012/11/01
ア
4
レヴィナス難しい。しかし、本書の説明のおかげで、「主体なきイリヤ(存在)」、享受の論理、「顔」の声への応答可能性=責任、「汝、殺すなかれ」といった要点はなんとなく理解できた。最後の国家や正義についての論は理解しきれなかったが、レヴィナスがそうした社会や共同体の次元にまで思索を広げていたのは知らなかった。驚き。2021/02/14
hitotoseno
3
レヴィナスの原典を引きながら解説していくのではなく、自らの体験から出発し論理によってレヴィナスに近づこうとしている解説書。倫理学や他者論を始める際には欠かせないレヴィナスが、あくまでも自我が生まれ出る瞬間や事物を認識する基本的な地点から思考していたことに改めて気づかされる。蒙を啓かれたのは他者からもたらされる倫理があの「享受」、つまりエゴイズムに脅かされながら成り立っているとの記述だ。他者を語ることもまた自我に取り込む行為の一環なのであり、我々は緊張を絶えず維持させながら倫理を打ち立てなければならない。2012/10/27
♨️
2
愛について饒舌に語るレヴィナス...私をものどもの享受の次元から揺り起こした〈あなた〉への届くか届かないかわからない〈言葉〉! レヴィナス的視座(それは取れるか取れないかすらわからない視座!)から初めて「国家」や「正義」が見直され、そこから思考が始まる みたいなオチが感動的だ2018/12/01