内容説明
戦後日本は、沖縄を米国へ人身御供として差し出すことで、復興と繁栄を手に入れた。沖縄に米軍基地の大半を押しつけて経済発展を享受する構図は、東京のために福島に原発を作ることと何ら変わらない。天皇、米軍、沖縄県警、ヤクザ、怪人、財界人、奄美人など……戦後の沖縄を作り上げた人々の、本土では知られざる「小文字」の物語を丹念にたどり、現代日本そのものを逆照射したベストセラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
47
下巻は、芸能と琉球王朝の衰退については、関心を持てず、読み切るのに苦労した。沖縄政治の深い部分が知りたかったが、そこまでは踏み込まず、少し残念。沖縄の近代における保守革新の変遷を知って、基地問題の今後がどうなるのか。そこに興味を持ちつつ、沖縄に遊びに行きたいな。2023/03/19
楽駿@新潮部
37
品川図書館本。本当に意味ある、面白い本だった。今日行われる、沖縄読書会までに読み切ろうと、頑張りました。青い海、豊かな自然。それも沖縄。第二次世界大戦で蹂躙されつくした、それも沖縄。そもそも、日本ではなく琉球王国だった、それも沖縄。戦後、何も食料も、手段もなく、それでも生き永らえてきた、それも沖縄。今でも、県の面積の大半を占める米軍基地があるのも沖縄。何があっても、エイサーで歌い、踊り越えてきたのも沖縄。米軍基地から泥棒してくことを称えるのも沖縄。これは、読んでみてほしい。考えてほしい。沖縄と近づきたい!2019/11/09
扉のこちら側
31
単行本で初読し文庫で再読。初読時にも思ったが、実名をここまで出してしまって大丈夫なのだろうか。でもこういった本が出せる時代なのだなとも思う。2013/03/24
Willie the Wildcat
21
距離感。物理、心理、人・・・。心を弄ぶような政治。印象深いのが、1999年12月末の名護市市議会の決議の”過程”。根底に、国家論も垣間見る。大局観と”覚悟”に敬意。次に、デイビス元軍曹の”義”。真摯な想いと信念に、国境は無い・・・。これら2つの言動のどちらにも、私欲はない。だから心に響く。ここに”距離感”の秘密がある気がする。失われつつある(血縁という意味ではなく)”家族”を感じる。2013/05/24
イッセイ
10
沖縄のアンダーグラウンドに浸りきった。そんな中にあって、カバー写真の女の子を訪ねゆく「沖縄美少女探索紀行」(文庫版あとがき)が、でいごの花のように色鮮やかに残った(B)2011/08/29