内容説明
「泉鏡花文学賞・親鸞賞受賞」日本曹洞宗の開祖・道元は真実の求法の地を求め、ついにその理想の場所を北陸の地に見出す。永平寺建立、『正法眼蔵』大成に至る、記念碑的長編小説完結篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
16
立松和平が9年がかりで道元禅師の生涯を描いた原稿総量2100枚の労作をようやく読み終えた。下巻は正法眼蔵をめぐる記述が多く、立松が自分の言葉で書くために難解な教理を読み解いた跡がしのばれる。ストーリーとしては内約の妻であった安嘉門院邦子内親王が波多野義重とともに道元の布教活動を支えたことがクローズアップされている。歯磨き、トイレ(東司)と食事の作法の説明が詳しく、道元の清潔好きと規範意識の高さがよく分かった。執権・北条時頼との対面は唯一スリリングなシーン。2017/11/17
紫羊
8
渾身の思いを込めて道元禅師の生涯を描ききった立松和平さん。生前は作品を読む機会がなかったが、これから少しずつ読んでいきたい。2019/04/29
三上 直樹
2
道元禅師の生涯を描く立松和平さんの大河小説を再読。宋から帰った道元禅師が興聖寺を経て永平寺を建て、鎌倉下向の後に入寂するまで、「正法眼蔵」の文章を交えながらまとめていますが、まさに私心も怒りもない生涯に感銘を禁じ得ません。 それにしても、晩年とは思ってもいなかった立松さんが、この時期に仏教とりわけ曹洞宗に分け入っていかれた所以が気になります。2018/05/08
三上 直樹
2
曹洞宗を開いた道元禅師の生涯を、原稿用紙2100枚、約9年間にわたって書き連ねた大作をようやく読了。 ただただまっすぐに仏法をきわめようとする姿には感嘆するほかありませんが、最期を永平寺を去って京で迎えるところに、人間としての道元を見た思いです。2016/02/27
pagrus55
1
★★★★2020/05/05