内容説明
小説だからこそ、書けることがある!著者はフィクションの力で戦後史最大の謎をついに解いた!――昭和24年7月6日、初代国鉄総裁下山定則が轢(れき)死体で発見された。昭和史屈指の謀略事件ともいわれる「下山事件」である。はたして誰がどのように計画し、実行し、真相を闇に葬ったのか? ベストセラーとなった第一級のドキュメント『下山事件 最後の証言』(日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞)から10年、ノンフィクションでは解明しきれなかった“真実”に、小説という方法で到達し、事件の全貌を描き切った空前の傑作長編!熱い期待に応えて発刊と同時電子化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
114
闇の奥へ…の一冊。かの有名な迷宮入り事件。真実という闇の奥へいざなう面白さに夢中になった。まるで捜査本部解散後、一人の刑事が熱き思いで独自に捜査したどり着いたあの日を目にした気分。GHQ占領下、戦後復興を遂げようとしている陰で、複雑に絡み合う国、組織、謀略、緻密な計画、マグロに戦慄を覚えずにはいられない。自殺か他殺か、この時代の科学捜査、法医学を駆使するシーンも読みどころの一つ。他殺であると確信した思いが塵となる虚しさ。真実は藪の中か…水面下の巨大なチカラ、現在にも通じる圧力…様々な思いが頭を巡る。2019/05/23
それいゆ
90
『下山事件 最後の証言』では表現しきれなかった詳細が、フィクションだからこそより分かりやすく、臨場感あふれる展開となって蘇っています。ノンフィクションを読んでいる錯覚に陥ってしまいます。帝銀事件や三億円強奪事件、グリコ誘拐事件なども、この要領で小説にしてほしいと思います。傑作が完成しそうです。2015/10/07
タックン
88
戦後間もない昭和24年に起きた昭和時代最大の謎の事件である国鉄総裁死亡事件である下山事件。 戦後日本を統治するGHQの思惑と共産主義・M資金とか利権を独占しようとする政治家や官僚や起業家たち・亜細亜産業を始めとする秘密組織の暗躍。 そのままの構図が安倍元総理暗殺にも該当していてそうで戦後の日本は何も変わっていないと痛感した。 そしてこの本に登場する柴田の孫が作者だと知り愕然とした。 この作家さん安倍元総理暗殺事件も書いてたから何かわけありな気がするな。2025/04/17
いつでも母さん
66
正直疲れた。『下山事件』と云うのは知ってはいたが内容は全く知らなかったので、重かった。こうして闇に葬られてきた事件が山ほど有って今の日本があるのかと思うと薄ら寒い。戦後のGHQ占領下の元、時代背景や関係各位の思惑が絡み合って・・か。ノンフィクションの方は未読なので『小説』として読み応えはあった。しかし、下山さんは何故総裁をひきうけちゃったのかなぁ。そして、柴田作家の祖父はこの中の誰だったの?暑い中、厚い本で作家の熱い思いだが、読後の不快感は暫く拭えない。2015/07/29
chantal(シャンタール)
64
戦後間もない1949年に発生した下山国鉄初代総裁が礫死体で発見された「下山事件」。現在もその真相は謎に包まれている。子供の頃、関連の映画を観た記憶があり、こういう「迷宮モノ」が大好きなので手に取った。とても面白かった!下山事件に関するノンフィクションもこの作家は書いており、そこでは描き切れない物をこの「フィクション」として描き上げたとか。戦後の混沌とした時代感がとても良く分かったし、本当にそういう事が起こっていたとしても何ら不思議はない。でもそれが事実だとしたら、とても恐ろしい。これは前作も読むべし。2018/02/21