新潮文庫<br> フランケンシュタイン

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新潮文庫
フランケンシュタイン

  • ISBN:9784102186510

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内容説明

若き科学者ヴィクター・フランケンシュタインは、生命の起源に迫る研究に打ち込んでいた。ある時、ついに彼は生命の創造という神をも恐れぬ行いに手を染める。だが、創り上げた“怪物”はあまりに恐ろしい容貌をしていた。故郷へ逃亡した彼は、醜さゆえの孤独にあえぎ、彼を憎んだ“怪物”に追い詰められることになろうとは知る由もなかった――。天才女性作家が遺した伝説の名著。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

191
著名な映画の原作である。 怪物を造ってしまったフランケンシュタインの 心境が 丁寧に語られる。 予想外に ひどく女性的な語り口は 映画とは 違った味わいで…嵐が丘を想起させるような 大げさな描写も この時代の風景なのだろうか? 怪物物語が実は哀しい想いの物語であることを 再確認する…そんな作品だった。2019/04/12

chiru

135
姪からのプレゼント本🎁 自ら創造主となり人造人間を造ったマッドサイエンティストな天才青年の物語。“人工的な生命の生成”は世界初のSFとされ、科学の罪と罰に光を当てる。青年は自分の手で造った怪物を、醜いからと一方的に憎み、怪物は、産みの親である彼に愛されず、殺人鬼に変貌。優しさと知性を合わせ持つ怪物が「産んでくれと頼んだ覚えはねえよ!」となるのは当然。親子関係に酷似する、現代に通じるテーマで200年前に描かれていたことに驚く。作者の訴えたいことは『生命は平等に不完全』ということかもしれない。★42020/03/24

ケイ

122
再読。『わたしを離さないで』の中で、子供たちが提供をジョークにし始めた時に使った表現、ファスナーを開ける“unzipping“が zip=縫い合わせて作られるフランケンシュタインのまさに逆だと思ったので、改めて読んでみた。墓で見つけたものを利用したとはあったが縫い合わせたとは書かれていない。作り出すだけで放り出す罪には、人工授精でもうけた子供に愛情を注がないという最近の報道のこと(真偽は別として)が思い出された。愛を目にしても与えられない生き物の悲劇と、生を作ろうとする人間の不敬。2021/09/01

MF

120
もう45年も昔、初めて完訳本に挑戦したのが角川文庫から出ていた旧訳による『フランケンシュタイン』と平井呈一の訳による『ドラキュラ』だった。後者は古めかしくとも江戸っ子然とした闊達な筆致で心踊らされた反面、前者は凄まじい直訳調で脳内で平井流の語り口にむりやり再翻訳しながら読んだものだった。以後各社から文庫が出るたびに買い集めてきたが、この新潮文庫の訳は最もバランスの取れた名訳だと思う。この訳でゴシックロマンス最高の成果に出会える読者は幸せだと思う。2017/05/08

こなな

107
フランケンシュタインは、怪物を造った科学者の名前である。常軌を逸した熱情に駆り立てられて墓場から掘り出された死体をつなぎ合わせ、電気ショックによって生命を与え怪物を誕生させてしまう。怪物は姿は醜いが思慮深い。しかし最後まで名前もない。可哀想なのだ。言うなればこの科学者は、誕生させた赤ちゃんをネグレクトしたのではないか。などと次々と本書のテーマがあるように考えられる。旅行記のようにヨーロッパ中を壮麗な光景が眼に浮かぶように描写してあることも読み応えたっぷりである。文学的であり芸術的である。2021/04/04

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