内容説明
人口を4分の1減らした「革命」「解放」の真実。囚人14000人、生還者7人の監獄。無軌道に展開した強制労働、密告、そして処刑。社会基盤を破壊し全国民の4分の1を死に追いやったポル・ポト政権はいかにして「革命」を遂行したのか。20世紀最大の蛮行、その軌跡と背景を完全解読。(講談社選書メチエ)
目次
はじめに
主な登場人物・関係者一覧
第一章 ポル・ポト共産主義はどう生まれ育ったか
第二章 内戦に勝つ
第三章 ポル・ポト政権
第四章 革命の正体
第五章 ふたたび森のゲリラへ
第六章 ポル・ポト派の終わり
終章 家族の絆と宗教──革命が越えられなかったもの
あとがき
注
参考文献
ポル・ポト〈革命〉史関連年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
50
〈革命〉史と銘打ってる通り、クメール・ルージュの通史としての本。彼らが政権を取っていた間何をしたかではなく、その成立から政権奪取、そしてそこから滑り落ちるまでを描いている。どうしてもポル・ポトというとあの滅茶苦茶な時期に興味が行きがちなので、通史としてはっきり読むのは初めてなので面白く読めた。逆に言うとそこの記述は控えめ。逆に中国共産党との関係やベトナム戦争とも絡んだ独特の独立意識、ベトナムとの関係等取り巻く関係等は詳しく書かれている。著者の取材時の体験などもあり、独特の緊迫感と共に読む事が出来た。2025/07/16
ようはん
22
ポル・ポト政権の行ったカンボジア国民への残虐な所業の数々はある程度は知っていたが、読んでみてどうしてこうなった…としか言いようがない。ポル・ポト政権崩壊後の多くの幹部が因果応報の最期を迎えず割と穏やかな老後を過ごしていたのも多数の虐殺された人々を思えばすっきりしない。2020/11/12
coolflat
19
カンボジア内戦〈ロン・ノル政権(70~75年)~ポル・ポト政権(76~79年)~ヘン・サムリン政権(79年~)〉の歴史、ポル・ポトの生涯とポル・ポト派の顛末を描く。カンボジア内戦はベトナム戦争から派生して起こった。ベトナム共産軍はカンボジア領を安全な聖域として最大限利用し、中立外交を掲げていたシアヌーク政権は、ベトナム共産勢力と協力路線を取るようになっていった。70年、米国の支援を受けたロン・ノルがクーデターに成功。シアヌークはロン・ノル打倒のカンボジア民族統一戦線を結成。泥沼のカンボジア内戦が始まった。2020/05/04
HERO-TAKA
17
ポル・ポト政権の誕生から後始末までを綴った一冊。もちろんポル・ポト派へ批判的な目線ではあるが、革命政権の変遷を冷静に整理してくれる。原始共産主義思想について興味があったのだが、ポル・ポト派にはその理想を現実に扱えるわけがなかったとぶった切っているので詳しくは掘り下げられず、その部分は残念だった。2021/03/14
軍縮地球市民shinshin
15
ポル・ポト率いるクメール・ルージュがカンボジアの政権をとった約4年の間、虐殺の嵐が吹き荒れた。自国民150万人虐殺という数字はすごい。それが半世紀前に実行されたというのも記憶すべき。本書はクメール・ルージュが毛沢東派の共産主義を信奉しており、家族を解体し、集団で農作業をさせ、高等教育を否定し子どもに医者や裁判官をさせた実態が概説的ではあるが述べられている。「平等」を標榜し貧しい人たちの「人権」を守る共産主義が、ソ連でも中国でもカンボジアでも大量虐殺を生み出したのか。共産主義という思想そのものに欠陥があるの2025/07/16
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