内容説明
雨の音を聞きながら、静かな森の中を進んでいく大学時代の同窓生たち。元恋人も含む四人の関係は、何気ない会話にも微妙な陰翳をにじませる。一人芝居を披露したあと永遠に姿を消した憂理は既に死んでいた。全員を巻き込んだ一夜の真相とは? 太古の杉に伝説の桜の木。巨樹の森で展開する渾身の最高長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
270
学生時代の仲の良い男女4名の屋久島への旅での会話を現在と過去の話を交えながら綴る旅行小説。下巻も残りの男女1名づつの2章からなっていて、明らかになっていなかった過去が徐々に明かされていく。生活環境から抜け出して非日常の世界への旅だが、会話の内容は日常に近く、エンターテイメントの味わいが少ない。しかし、屋久島の観光、登山の描写は臨場感があり、男女4名と観光・登山をしてきたような感覚になった。解説に世代小説とあったが、使い捨てカメラ等が出てきて、若い人にはピンと来ない部分が多いという意味で世代小説なのかと納得2018/06/20
パトラッシュ
239
(承前)信頼できない語り手4人による回想のピースが徐々にはまっていき、誰も予想しなかった絵が完成する。それぞれが若き日に負った心の傷を秘めてきた結果、表面上は仲のよい面々が実は今日まで続く膿んだ痛みに耐えてきた事実が明るみになる。必死に自分を守るため記憶を改竄し、他人を信じるふりをして、目に見えぬストレスをため込み続けた。そんな偽りの生が破綻する寸前、最後に全てが明るみに出るプロセスの描出にかけて、著者の右に出る作家はいない。それがどれほど醜くとも、読者の心には豪華絢爛たる万華鏡の美しい謎が残されるのだ。2024/01/07
Atsushi
155
美しき謎と過去への思索の旅。気ままな会話を楽しみながら、ずっと気にしてきたことを解明していく四人。節子の章が一番良かった。後味は悪いが気になっていた憂理の件が解決してすっきり。先日誕生日を迎えたが森の中を歩く人生の旅はまだまだ続く。楽しみ半分不安半分だ。2018/05/19
どんちん
142
ほんわかとした読後感でした。夜ピク大人版という感想が多かったのもうなづけますね。華麗にして美しい謎、納得。こういう人間関係はうらやましですね。もちろん、ここまでの付き合いでも、相手に見せない・みせらない自分があるというところが、リアルな人間くさくて、一層物語を引き立てているなぁと。ある意味、人対人の心の限界レベルまで接近した付き合いという感じかな。これがなく、100%信じあっているような設定だと、逆に薄っぺらな話になってしまうかな。4人に完敗・乾杯!再読...ちょっと分厚いなぁww いつかチャレンジ!2015/12/01
NADIA
104
男女4人のそれぞれの視点で語られる手法がとても効いていたと思います。過去の謎がだんだん解明される過程と、屋久島の縄文杉ツアー制覇(?)の過程がリンクして最後まで面白く読めました。情景描写が素晴らしく、私もメンバーとして一緒に濃密な空気の中で巨樹の島登山を体験しているような気分になりました。ちょうど約束の時期になったんじゃないかと。続編希望です(^^)2016/04/20
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