内容説明
「尊皇攘夷」は、幕府を倒す“口実”だった――。日本のすべてが変わった大転換期、本当は何が起きていたのか?“独自の歴史観”を織り交ぜながら、塗り替えられた「歴史のターニングポイント」を解き明かす。 ◎「短刀一本で“けり”がつくことでごわす」(西郷隆盛) ◎「桜田門外の変」と「二・二六事件」の共通点とは? ◎“いかさまの御旗”が鳥羽・伏見に翻る ◎「みんな敵がいい。そのほうが大事ができる」(勝海舟) ◎“政略家”桂と“戦略家”高杉 ◎なぜ龍馬はみなに愛され、そして殺されたのか?隠されたエピソードから、幕末の「実像」が明らかになる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころりんぱ
62
読みやすさ抜群。半藤さん、アンチ薩長丸出しの幕末期の歴史観がおもしろい。私も司馬さんの「竜馬が行く」を若い頃に読んで、すっかり倒幕派贔屓だったけど、少しずつ会津の話や新撰組の話など知ってくると、幕府がそんなに悪者だったのか?んん?と思うこともあり、そんな疑問もこれを読んで割とスッキリした。幕末は本当に人材が豊富で、志も才もある人々が日本の未来を真剣に考えていて。今考えても、ちょんまげ、刀、羽織袴の集団が20年やそこらで洋装に鉄砲持って富国強兵!って突き進んだんだから、ものすごい変革だったんだと思う。2015/11/26
り こ む ん
33
「幕末史」と同じ感じで、柔らかくくだいてお話を聞いているような本。幕末にあまり興味がなかったころは、近代日本の幕開け!明治維新ってキラキラしたものに感じてたし、そう教わったけど…興味を持ちイロイロ読み進めているうちに、あれ?あれあれ?と…疑問が…明治維新ってそんなにキラキラしてないし、血が流れてない訳でもないんじゃないの?と、この本を読むと、やっぱりそーだよね!と、感じる。今だからこそ、見直せる歴史感。すべての鍵がここにあるんだ。2015/10/15
ちさと
30
薩長の倒幕による権力奪取、下級武士対上級武士として見る明治維新。半藤さんの“反薩長史観”が色濃く出ている1冊です。歴史観は出身地や立場によって変わるもの。だけど大切なことはどんな教訓が得られるか考えながら、客観的に歴史をなぞることだと思う。半藤さんは「薩長は暴力集団」という情念を抱きつつも、「しかし革命とはそういうもので、敵を徹底的に潰さなければならなかった」とも仰っていました。2018/11/03
こも 旧柏バカ一代
20
半藤氏が幕末を自身の経験と様々な資料を根拠に分かりやすく読み解いてくれてます。新潟だと西軍はよく聞く話ですね。徳川慶喜が尊王攘夷に毒されて錦の御旗を見て戦意を無くしたってのは頷ける。そしてそれに苦労していた勝海舟が気の毒過ぎる。2019/07/10
たらお
18
新潮社の「幕末史」を読んだうえで、この本を読むべき。そうでないと面白みも半減するであろう。「幕末史」に何を学ぶのかという著者のあとがきに、「私たちは“リアリズム”に徹せねばならない。つまり、日本という国の国力の限界をしっかりと見定めることです」「地政学的な日本本土の位置を認識し、冷静に、感情的にならず、情報や情勢を分析し、今は何がいちばん大切かを判断することです」とあった。戦後70年の節目を迎え、日本が間違った方向に進んでいかないように、日本国民として考えをもち、選択をしていくことが大切と教訓を得た。2015/08/25
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