内容説明
冬を間近に控えた四月。建築家ファビアンの愛娘とそのベビーシッターは、ブエノスアイレスの地下鉄で突如姿を消した。警察の捜索は遅々として進まず、以前からギクシャクしていたファビアンと妻との関係は悪化の一途をたどるばかりだった。やがて絶望の淵に立たされたファビアンは、バローロ宮殿に事務所を構える曲者の私立探偵の力を借り、みずから娘を探し始める。腐敗した街をめぐり、大河の果ての密林に続く彼の旅路は家族の忌まわしい秘密を明かしていく。スペイン語圏を席巻したアルゼンチンの傑作ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆかーん
67
辛い…。只々辛いです。4歳の娘が、突然地下鉄で姿を消し、父親のファビアンは9年もかけて犯人を追跡します。必死の捜索により、愛する娘は再び我が手の中に戻ったはずでしたが、この事件はそのまま単純には終わりません。救ったはずの少女の命は、本当は全く救われていなかったのです。さらに、妻リラに隠された過去を知ることで、開けてはいけないパンドラの箱を覗く結果となりました。胸がえぐられるような真実の数々に、ラスト50ページは涙が溢れそうでした。次々に死んでいく仲間と、愛する家族の裏切りの連続に、私の心は崩壊寸前でした。2017/04/02
ペグ
56
シッターと共に失踪した四才の娘を、探偵と共に捜索する父親のファビアンの不安と焦燥〜明かされる驚くべき真実‼︎ そして今回も探偵のドベルティ、バレーボールチームの友人ルソなどキラリと光る脇役などが登場して読み応え充分な小説でした。次作の楽しみな作家登場です(^_^)v2017/05/08
のぶ
56
アルゼンチンのミステリーを読むのは初めてだ。どんな話か疑心暗鬼で読み始めた。かなり長い話だが、すごく読みやすく、分かりやすい小説だった。娘の失踪が全編の縦糸として貫かれていて、父親がいろんな人と関わりながら探す話。ストレートに娘の所在がどうなるかを読んでいけばいい。終盤には南米ならではの密林の冒険談も盛り込まれていて、すごく面白い話だった。こんなミステリー第三国の本を紹介してくれるのはありがたい。他の国にも良い作品があると思う。もっと出版してほしい。2015/11/08
starbro
47
以前訪れて気に入っている街(南米のパリと言われているだけあります)なので、ブエノスアイレスという地名に魅かれて手に取りました。グスタボ・マラホビッチ初読です。600P一気読みしました。一人娘を持つ?父親の執念と愛情が深く感じられるミステリ悲劇でした。話は変わりますが、北朝鮮の拉致被害者家族は本作の主人公の何倍もつらいんだと思います。 2015/08/14
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
34
初めてのアルゼンチン・ミステリー。 失踪した4歳の娘を探す父親の物語なので、親として身につまされました…(泣)。 押し掛け探偵や、昔の同級生たち(バレーボール仲間)との友情が癒し。 誘拐犯の姿や理由が分かってくる後半は、スリリングで読むスピードも上がります! 地理に疎いので少々苦戦しましたが、独特の雰囲気が楽しめました☆2016/05/19
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