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内容説明
日本人にとって山は聖地であり、レジャーとしての登山が日本で一般化するのは明治末期だった。日本とヨーロッパを比較しつつ、山と人間との関わりの歴史をたどり、山の魅力に迫る。『登山の誕生』を加筆のうえ改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
42
植生と地質という異分野を統合して山歩きの思わぬ楽しみ方(ゆっくりと周りをみながら登ろう!)を教えてくれた小泉さんの最新著(2015)ということで読んでみた。「登山の誕生」(2001)の大幅改稿増補版だという。明記はないが登山をめぐるエッセイを集めた感じ。江戸時代の松浦武四郎(蝦夷地探検の!)を日本登山思想の源流とし、西欧近代登山(岩登り)の受容史をこまめに跡づけながら、山を歩いて楽しむ日本型登山(西欧は専門登山家以外は登山電車で楽しむ)の確立を説くあたりは自らの"知性派登山"の裏付けとして楽しい。2015/07/29
yamakujira
7
海外諸国と比較すると、日本人は古くから山に登っていたらしい。狩猟や採集を目的とした山入りと違って、山頂を目指す登山は生活の余裕が好奇心をもたらしてこそ、という説明に頷ける。史料からは、宗教登山にはじまり、江戸時代の奥山回り、講による信仰登山の観光化、明治になっての学術登山、そして近代的なスポーツ登山へと、日本の登山文化の歴史をひもとき、さらに、自然観察を兼ねた登山の楽しみ方を提起する。読めば読むほど、こんなに山に親しんできた民族が、どうしてこれほど山を破壊できるのだろうと悲しくなるな。 (★★★☆☆)2019/11/15
あきぴー@武蔵国
1
高尾山ビブリオで紹介しようかと思って読んだのですが、いまいちだった…尤も、風邪を引いてしまいドタキャンしたんですけどね。関係者の皆さま、ご迷惑をお掛けしました。m(__)m評価:★★☆☆☆2015/07/28
夢読み
1
日本人と登山のかかわりを古代から現代にいたるまでおおよその年代ごとに記述しており、なかなか興味深く読めた。特に「講」の経緯・発展は面白いと思った。そこには宗教的な意味もあったり、通過儀礼的な意味もあったり、物見遊山的な意味もあったりと、文化の厚みを感じた。そういう意味で登山というのは、純粋なスポーツとはちょっと違うのであって、変な言い方だが「競争的でない、需要の仕方」というのをしていくべきだなと感じた。2015/07/12