内容説明
お貸しするのは、本の世界を自由に旅する時間。19世紀末・英国。ロンドン郊外の静かな町で、貸本屋《千夜一夜》を営むサラとアルフレッド兄妹。とある事情から侯爵家の生まれという身分を隠して暮らしているふたりだったが、店にはとっておきの一冊を求めて今日もたくさんの客がやってくる。そんなある日、「探してほしい本がある」という貴族の兄弟が店をおとずれて…。ビクトリアン文学ミステリー!!
目次
第一話 紳士淑女のタイムマシン
第二話 春と夏と魔法の季節
第三話 末の世のアラビア夜話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ももたろう
100
「英国マザーグース物語」が大好きだったので雰囲気が似ているこの作品もとても楽しかった！あきさんの挿絵で見たかったなぁ。「兄さま」呼びっていいですよね～。美形のお兄様の作ったジンジャーブレッド食べたい。黒髪青い目のイケメンで頭も良くて料理も得意ってなんなんでしょ、この完璧さ！妹バカという残念な所があってよかったです。ヴィクターの弟くんたちがかわいい。「ちびじゃないよ！」「ないよ！」「むー」「むー」とかもうたまらないです！両親の死に関係しているかもしれない「自殺クラブ」の存在が不気味ですね。続きが読みたい！2015/10/17
スズ
94
貴族の兄妹がロンドン郊外でひっそりと営む貸本屋を舞台にした文学ライトミステリー。『タイムマシン』『若草物語』『シャーロックホームズ』等々、海外文学の名作をテーマにした物語が優しく紡がれており、兄のアルフレッドの焼いたスコーンと紅茶を味わいながら、ワクワクした表情で物語の世界へ旅立つ妹のサラの姿を想像するととっても幸せな気持ちに。乳母の読み聞かせてくれた女の子と白い犬の物語や、図書館の本に隠された禁断の告白の謎も安楽椅子探偵のようにそっと紐解いてしまうアルフレッドの聡明さと、彼を心から慕うサラの兄妹愛が好き2020/03/01
ひめありす＠灯れ松明の火
93
千夜一夜、物語を語りましょう。貴方の内にある凶暴な獣を寝かしつける為に。アッシュモーヴの瞳をもつ心優しき倫敦のシェヘラザード。薄紫の菫の花の似合う文学少女の朗らかに弾む声。紅茶の馥よかな香り。ヴェルヌ、スティーブンソン、ウェルズ。千夜どころか幾星霜の夜を越えて、今も愛され読み続けられる物語。あの日読んだ本の事は忘れてしまっても、一緒に本を読んだあなたの物語はなくならない。アルフ ライラ ワ ライラ。不思議な響きの言葉を呪文の様に唱えたら、貸本屋の扉を開きましょう。とっておきの物語の扉も、一緒に開きますから2015/05/05
ううち
84
貸本屋を営む兄妹の物語。読んだ本について語り合ったり、美味しそうなお茶やお菓子、謎解きなども上品な雰囲気で読みやすかったです。貸本の説明をするシーンで『本の世界を自由に旅する時間』というサラの台詞がとても素敵だなと思いました。ヴィクターには頑張って欲しいものです。2016/02/23
aquamarine
64
舞台は19世紀のイギリスで身分を隠した兄妹が営む貸本屋。日常の謎（殺人もありますが）に関わるミステリです。有名な本に絡めて謎が解決に向かいますが本の中身にかなり深く触れているのでネタバレではないのかとちょっと心配になりながらの読み進めでした。キャラは割としっかりしていますが謎解き部分含めかなり軽くてあっさりさらさら読めてしまいます。現時点では貸本屋じゃなく図書館とかで普通に学園ミステリでもいい感じでした。まだ二人が身分を隠すきっかけになった事件の方がそのままで気になるので続きもでたら読んでみたいです。2015/10/16
