内容説明
美しい蔓薔薇と高麗芝の敷かれた洋館で、治子は五歳になる一人息子の信之と建材メーカーの社長である夫と明るい家庭を築いていた。だが、この家庭にも不安があった。それは、結婚後、数年たっても妊娠のきざしがないことから人工授精を受けて生まれた信之の本当の父親は、夫なのかドナー(精子提供者)なのか不明なことだった。そして、ある日――ドナーと名乗る男の出現によって平穏な家庭に大きな亀裂が生じていった……。治子の心を支えたのは脆い一本の試験管につながれた母と子の強い絆だった。表題作ほか日常生活のなかで遭遇する事件をテーマに、女性の微妙な心理を描いた作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
28
短編6本収録。全て女性視点。ただただ事件に巻き込まれていく女性もあれば、探偵役として謎解きをしようとする女性もあり、また、悪巧みをする女性もいたり。うちのお気に入りは「破滅が忍び込む」テレビ出演などもし、顔が知れている女医が、家庭のある男性との逢瀬の最中に、近くのビルから女性が転落したのを目撃。一方、同じ時間帯に、娘がトラブルに巻き込まれ、警察に疑われたくないので一緒に自宅に居たことにしてほしいと泣きつかれる。我が娘を庇うための偽証が、やがて自身を破滅の方向に追いつめて…そのゾクゾク感がたまらない!2021/05/28
K K
1
安定の夏樹静子、やはり面白い2016/03/02
うさ子
0
(2004年2月読了)
kanamori
0
☆☆★2011/10/18