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内容説明
ノーベル賞授賞式に羽織袴で登場した川端康成は、古典文学や芸術を紹介しながら日本の死生観を述べ、聴衆の深い感銘を誘った。その表題作を中心に、今、日本をとらえなおすための傑作随筆を厳選収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
32
以前どこかで読んだ文章だな、というものもありましたが、面白く読みました。川端先生の尊さを再確認しました。2015/05/04
アキ
29
1968ノーベル賞受賞時のスピーチ。川端は「日本の美と私」という題を「美しい日本の私」に変えた。翻訳者サイデンステッカーはJapan the Beautiful and Myself とそのまま訳す。日本美術の特質を「雪月花の時、最も友を思う」という詩語に約めた。また源氏物語を日本の物語文学の極まりとした。この2年後に三島が割腹自決し、4年後に川端も自殺して果てた。サルトルが賞辞退の際「私はサルトルであり、ノーベル賞サルトルではない」と述べた。死の前年に受賞したかったとは川端の言葉でもの哀しい。英訳あり。2018/10/08
ちゃっぴー
16
ノーベル文学賞受賞記念講演「美しい日本の私」と随筆集。自然と結びついた美しい日本の美。端正な文章で書かれている。「雪月花の時、最も友を思う」四季折々の美に自分が触れ目覚める時、親しい友が切に思われ、このよろこびを共にしたいと願う。美の感動が人なつかしい思いやりを強く誘い出す。2018/04/20
双海(ふたみ)
13
最近、連綿体の”かな”の美しさと、平安時代の女性の黒髪の美しさの関連について考えるともなく考えておりました。この二つを関係のあるものとして考えるなどというのは私の戯れに過ぎませんが、似たようなことを川端さんも考えていたことに驚きました。本書は再読だそうですが、初読時のことはすっかり忘れておりました。2018/10/05
Automne
11
川端康成の感性が瑞々しく発露した論集。ノーベル賞の挨拶で和服着て日本語で話したそのスタンスが好きで『美しい日本の私』は前からとても気になっていた。いわゆる現代で「日本ぽいよね」とされていることの、もっと新鮮で深みのある考え方がたくさん述べられていた。繰り返し引用される『源氏物語』と『枕草子』はやはり必読なのだと思った。 中でも本書の序を飾る『花は眠らない』はその寂寥さや孤独を悟ったような情感が素晴らしい。 好きだった文 "源氏物語は鎌倉時代の北条氏を滅ぼし、江戸時代の徳川氏も滅ぼした" 2022/11/25