内容説明
1945年。敗色濃厚な、ナチス・ドイツ。ヒトラーの元に、謎の飛行物体が撃墜されたという情報が入る。それこそが、「地球外の飛行物体」と怖れられたフッケバインであった。回収を命じられた兵の前に現れた物は!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
61
1945年、黄昏を迎えようとするナチス。そんな時ドイツの一寒村に円盤状の物体が墜落したという一報がもたらされたナチスとUFOときたら切っても切り離せない存在で、それを題材にした小説が面白くないはずがない。本書も英雄的な国防軍、SSにアメリカ人捕虜、ユダヤ人にイギリス女性と多彩な立場の人物が駆け引きを繰り広げるのかと思いきや、途中から意外な展開を見せ始める。ここに至ってナチスとUFOとアレという、もう大好きな人にとっては堪らない一品になる。ストーリーも王道の冒険活劇で、読み終えるまで目を離せない出来でした。2020/07/18
ざるこ
48
両拳を机にドンドンするぐらいおもしろい。敗戦間近のヒトラーは正体不明機《フッケバイン》を撃墜したとの情報を入手。勝利への望みをかけ回収を命ずる。序盤から敵軍と追いつめられた独軍の緊迫の攻防戦が展開。戦車、兵器など軍事関連用語が飛び交うけど無問題。独軍人たちの諦念と奮起。敗色濃厚でも職務を全うする姿は本当につらい。そんな重厚な戦記がまさかのB級映画の様相?だけど冷めることなく前半の緊張感を保ったまま没入して読める。激戦の最中の人物描写が素晴らしい。男前マックスに惚れ惚れ。シリアスだけどエンタメ感抜群。満足!2021/09/21
鐵太郎
7
これはまず日本版「鷲は舞い降りた」である、というのが(個人的)最初の定義。佐藤大輔が考える理想のプロシア軍人が、ヒトラーに疎まれて決死の作戦に送り出される、という展開。しかし佐藤大輔はスナオではない、断固として。この物語の中に、V2ロケットからマウスといった超兵器をぶちこみ、ゾンビから始まって謎の空飛ぶ円盤と宇宙人、中世の修道院、そして守るべき弱者を配します。じゃあ、できあがりはどうなるのか考えるまでもない。 ──この小説は、ただの、SF混じりの軍ヲタ好みのホラー小説です。なのに、なぜ面白いんでしょうね?2008/04/30
北白川にゃんこ
4
円盤!ナチス!ゾンビ!無茶苦茶だなあ。しかし静かな感動がある。娯楽小説ながら学ぶ事もある。こういうのでいいんだよ、こういうので。2020/11/01
おむえむ
4
ヒトラーが地下壕に潜り、第三帝国の滅亡も目前となった1945年。ドイツ国内に不時着した謎の円盤形飛翔体を確保するための作戦が幕を開ける。時代考証が卓越しているのはもちろん、戦車戦もありゾンビ相手の大立ち回りもありと、これでもかとエンタメを詰め込んだような作品。次々と移り変わる状況からは一瞬も目が離せない。なによりも氏の作品には珍しくこれ一冊で完結しているのがありがたい。2017/04/05