文春文庫<br> 1922

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文春文庫
1922

  • ISBN:9784167812140

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内容説明

恐怖の帝王キングの最新作品集!

かつて妻を殺害した男を徐々に追いつめる狂気。友人の不幸を悪魔に願った男が得たものとは。巨匠が描く、真っ黒な恐怖の物語を2編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

145
中編集“Full Dark, No Stars”の後半部で表題作は原題が意味する「全き闇 星一つ無し」から希望の光さえも見い出せないイメージを抱くが、表題作はまさにそのイメージ通り、救いのない物語である。ただ本書の2編は『ビッグ・ドライバー』の2編と同様にカードの表と裏、いや鏡のこちら側と向こう側のような対比構造の作品である。その両作品に横たわるのは主人公の人間性の卑しさだ。意地悪な作家キング。しかしその時こそ、その筆が紡ぐ物語が面白さを増すのが実に皮肉だ。乗りに乗った彼の筆を存分に楽しむことができた。2024/12/09

藤月はな(灯れ松明の火)

73
この中編集の原タイトルが『Full dark,No stars』なので「神に背いた者は行先一切が闇であり、躓いたことさえも気づかない」(旧約聖書『箴言』)を思い出したよ・・・。その言葉が如実に表れた表題作は農業を愛し、神を信仰していた息子のヘンリーが妻殺しへの加担を秘すという苦悩の中で幸せを掴むために悪の道を突き進む姿が痛々しい。『公平な取引』は悪魔との取引で今まで親友に吸い取られていた幸運を奪い取って負けを押し付ける話。中々、爽やかにブラックですが「非派閥子供基金」はどういう意味か考えてちょっと慄きます2014/09/12

**くま**

54
全2編。両方とも重い、暗い話で救いがない。表題作はホラーとしてもなかなか(笑)。読む人を選びそう。でも読者を引っ張る面白さはさすがで、電車で読んでたら夢中になって乗り過ごしそうになった(笑)。表題作は夫と息子が妻を殺す話だけど、最初から奥さんに同情・・・。確かにあの下品さは終わってるけど、実はそう悪妻でもないよね? ほぼ一人称の語りなので「おわかりか」と連発するのが日本語だと不自然に感じてしまう、英語だと普通なのに。翻訳は難しい。息子が切ない! 「公正な取引」は時事ネタが楽しい。リアーナ出てくる(笑)。2014/06/27

眠る山猫屋

53
“恐怖の四季”に続く“星ひとつない真っ暗闇”の開幕。二編とも、まさに真っ暗闇な絶望。あるいは真っ暗闇な未来。 お父さんのエゴが息子の歪みを加速するかのような1922。息子の暴走は、心の闇を抱かせてしまった父親のせいなんだろうなぁ。 公正な取引は小品ながら、より深い人間の深淵を覗き込まされるような物語。結構キテます。2013/01/20

トムトム

49
良かれと思って殺したは成り立たないみたい2019/07/18

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