内容説明
手習い師匠の息子藤井文平は齢十六。小柄で元服前の前髪立ちのためよく子供扱いされるが、二年ほど前から「御探し物請負い屋」の看板をかかげている。知り合った二枚目の哲哉とごつい岩五郎が、暇つぶしの助っ人を買って出てくれている。二人とも旗本家の部屋住みだが剣の腕はあり、秀才でもある。蒔絵の文箱、消えた盆栽……請負い屋の本領は、失せ物が見つかってからにある。江戸に生きる人々の機微を切なく描く連作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
26
どこかで見た名前の作者だと思ったら、北森鴻さんが亡くなられた後、呆然としている読者のために続きを書いてくれた作家だった。大男、優男、美少年のトリオが依頼を受けて探し物をする話だけれど、依頼を解決しているうちに三人がそれぞれ抱えている辛さと優しさに呼応していくような心地よい話の流れになっている。続編が読みたい。2019/04/04
onasu
14
北森鴻氏の「蓮丈那智」シリーズを、氏の没後二作連名で綴られていて、浅野さん名義の作品も、と思っていたら、ちょうど文庫が出ていました。 「御探し物請負屋」、時代小説三話、ストーリー(ちょっと無理がありますが…)、登場人物、共に悪くないのですが、何処か乗り切れない。 現代ものと時代ものでは印象が異なるし、「蓮丈〜」は北森氏の作風をなぞったのでしょうが、どうも期待していた感じではありません。 別の方の時代小説シリーズを読んでいたせいもあるのでしょう。興味と言うより、読む時期のミスマッチかもしれません。2015/05/04
ううち
12
江戸時代は色々な職業があったようですが、失せ物探しは珍しい。今でいう探偵に近いのかな?子供っぽくて大人っぽい不思議な魅力のある文平に、これまた魅力的な哲哉と岩五郎がいい組み合わせ。シャープな文章で読みやすくて面白かったです。続編も期待したい。2015/05/15
ごへいもち
9
ちょっとわかりにくい部分もありもう少し推敲が必要かもと思いました。表紙絵は単行本の方が好み2024/12/02
へいがぁ
5
人との別れを重すぎない、ギリギリのラインで描いているように感じました。北森さんのパートナーの著作として読みましたが、これからは単独名義で書き続けていって欲しいです。まずは本作の続編を希望します。2016/04/28