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内容説明
息子の守は、幼い従姉妹に「あもくん」と呼ばれている。キャンプに来たものの、乗り気でない私と守は二人で森を散策した。日が暮れ、疲れた守を背負ってキャンプ場に戻ると……。家族の日常に潜む異界を描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安南
45
どれも覚えがあるような、手の届きそうな怪異ばかり。後ろめたさや鬱屈があればなおのこと垣間見るのは容易そう…。錯覚だとしてもやっぱり怖い。そんな錯覚を起こす脳が怖い。わからないことは怖い。地味ながら原始的で普遍的な薄気味悪さが描かれている。大変好み。よかったー。2015/04/10
T.Y.
27
小学生の息子・守を持つ父親の視点で描かれる怪談掌編集。陰の濃い絵がよく雰囲気を出している。ぞっとさせたまま切ってその後を描かない落ちの話がしばしばるのは怪談らしいところだが、次の話も同じ人物で展開、時には話が続いていることもあるのでどうなかったのか気にならんでもない。いや、何事も無かったように過ごすのが諸星世界か。守が幼い従妹に「あもくん」と呼ばれていたのは序盤だけだが、忘れた頃にこの呼称がまた出てきたり。各話の間と巻末には文章での短い怪談を収録。怖さは普通だが時に発想が鮮やか。2015/11/07
りー
26
おお、良い良い!日常の不安を掬い上げる様な、諸星大二郎の中ではかなり一般的でクセの少ない作品ばかりだけれど、それだけに素直に楽しめる一冊になっている。しかし相変わらずというか何というか、顔の書き分けの技術は推して知るべしなので、同一人物であろう人の顔が違って見えたりっていうのは日常茶飯事で、それが内容に関わってくる部分もあったりする。まあこういう登場人物の少ない作品だとあまり不便も感じないけれども。2015/06/24
しましまこ
25
日常と異界のあいまいな境目が怖いけどクセになる。先生がお子さんを寝かしつける時に語った『ベットサイドストーリー』6編がべらぼうに怖い。小さい頃こんなん聞かされたら眠れんぞ!2018/01/07
ぐうぐう
20
壁の染みが手形に見えたり、ドアの向こうに人の気配が感じられたり、人間の五感は意外と鈍感で、容易に錯覚を招く。諸星大二郎の最新作『あもくん』は、そんな日常に溢れる錯覚が起点となって、物語が作られている。しかし、その錯覚は人間の心理が生み出しているのだ。疚しさや寂しさ、不安や恋しさが、霊や化け物といった錯覚を導いていく。『あもくん』の怖さは、霊や化け物にあるのではなく、実はそれを生み出す人間の心そのものにあるのだ。2015/04/06