内容説明
アメリカは宗教で動いている
◆アメリカ国内に推定1億人の信者を持ち、アメリカ最大の宗教勢力とも言われるキリスト教福音派。聖書の教えを絶対視する保守系キリスト教徒である彼らは、宣教活動やロビー活動、そして草の根の政治運動を通じてアメリカ外交に大きな影響を及ぼしている。
◆彼らはなぜ「アメリカは他国より質的に優れている」と信じ、「世界中で善を実現する特別な任務を持つ」と自負しているのか。なぜイスラエルを支持し、核兵器を持ち続ける北朝鮮に対して人道的支援を行うのか。
福音派の信仰と政治的信条を歴史的に解き明かし、アメリカ外交において果たしてきた役割を示す。
◆解説:橋爪大三郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
9
昨今、米国の共和党を牛耳っているのは、キリスト教右派だの、福音派だのよく聞く。本書はその福音派(エヴァンジェリカルズ)を分析したものだが、いわゆる米国の福音派が政治的影響力を著しく増大したのは冷戦後だと言う。それまでの米国の政治に登場する宗教勢力を支配していたのはメインライン・プロテスタントだったが、ケーブルテレビ(キリスト教専門チャンネル)の普及と共に、福音派が人々の間に広まり、やがて政治勢力上でも福音派が主流を占めるようになる。因みに米国の福音派の総数は、平均で人口の約30%~35%、約1億人存在する2015/03/30
ケニオミ
6
似非キリスト教徒としましては、劣等感があるためか、ついついこの手の本を読んでしまいます。海の真砂の数ほどとは言いませんが、キリスト教団の数は実に多い。教徒の数だけ教団があると言っても、あながち間違いではないと思われるほどです。ということで、今回は福音主義キリスト教のお勉強をすることにしましたが、あまり身にはなりませんでした。何しろ福音主義の定義が曖昧。その曖昧さを基に話を進めるため、段々と焦点がぼけてくる。結局得たものは、解説の各教団の概要くらいでしょうか。似非キリスト教徒の勉強は中々進まないなあ。2015/01/16
林克也
2
結局神はいない。「宗教」とは個々人に都合の良いように構築された(誰がどういう目的で構築したか、というのは別にして)イデオロギーであり、日々生きる人々の心の空白を埋めるための”娯楽”、つまりギャンブルや麻薬、アルコール、テレビ、アイドル等と同じようなものなのだ、とこの本を読んで思った。2015/01/03
ルヴナン
1
福音派の外交への関わりがテーマで、福音派の解説本ではないのに注意。福音派の政治的影響力を矮小化せんとする意図を感じる。福音派の思想がアメリカ外交の思想基盤になることはあっても、政権への直接的な影響は無いと主張するが、それは嘘だ。2019/11/20
BATTARIA
0
メインラインと呼ばれる既存プロテスタントの凋落が著しいアメリカで、キリスト教原理主義者とは別物の福音派の興隆と課題についての論証。著者が福音派の大学で教鞭をとっているため、客観性はいまひとつだが、選民思想的なアメリカの独善性の背景を理解するには役に立つ。アウグスティヌスの神の国と世俗の国との区別や、スピリチュアルこそ教会の本質であることや、キリスト教徒が巡礼の民である等、当たり前のようで気づかないことが多かった。「世界の一員になるのではなく、世界の中にいなければならない」これは究極の心理かもね。2019/12/22
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