内容説明
柳田国男とともに草創期の日本民俗学を先導した“巨人”南方熊楠。十二支の動物をめぐって,東洋から欧米にわたる古今の典籍を駆使し,鋭い自然観察と自由闊達な文体でつづった空前絶後の博物誌。各巻に解説を付す。第1巻は,寅(虎),卯(兎),辰(龍),巳(蛇)に関する4編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
文献の抜き書き、参考文献と既成の研究や自分の発想の走り書き、それらを線で繋いだ図、以上3段階を経て著者は原稿を書いたという。学的記述から俗語が飛び出し、私的感想に移るその文体は、意味と形式を重視する学的記述と隔絶するように見える。が、思考のネットワークとして読むと、虎からジャッカルへの移行には親子というリンクがあり、虎の凶暴さにまつわる血とある植物種の関係には赤というタグがある。虎、兎、竜、蛇は4つのハブに見える。竜を古代の大トカゲ類の化石等から発想したと解釈する本書は、神話と科学の間の隔たりを線で繋ぐ。2022/11/05
Quadrophenia
1
「虎」だけ。なんにしても南方熊楠という人は天才だったというのは間違いないだろう。ネット等のデータベースのない時代にここまでの知識量をため込んだ「個人」はそういないのではないか。奇人変人の類と評されることもあるが、それは文章を読んでもわかる。知識の羅列と奇抜な考察。口語(俗語)がやたらに混ざる文体に突然始まる題目とほとんど関係ない考察(本格的)。こんな文章を書くことのできる人間はそういない。しかし同時代の他の本よりもむしろ読みやすいというのが不思議だ。ただの学術書などよりもよほど小気味よく読める本だ。2013/12/16
佐藤エレキテル
1
熊楠の文は読みづらいという人がいるが、私はこの文体が好きだ。もちろん理路整然として読み手に親切な文にも魅力を感じるがこういった研究資料を身近にするダイナミックな発想を根底に置いた文は知らせたくて仕方ないという息切れに近いようなテンポとくまなく書く半ば無理やりな組み立てによる技量のほうが必要なように思うし、そういった魅力は前者と対極的で時に詰め込みすぎたわかりづらい文章に見えるが読み込めば癖になる。手元に置き続けたい娯楽だと思った。2012/03/08
tkm66
0
大学生には読んでいた、ですね①
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